新型ランクルはやっぱり本格派のクロカンモデルだ
理由その1 車体の構造
ジープではラインアップ随一のオフローダーであるラングラーを除くすべてのモデルが、ランドローバー/レンジローバーではもっともハードコアだったディフェンダーですらモノコック構造を採用する中、ランクル300は依然としてラダーフレームを採用している。もちろん改良の手はしっかり入って、TNGAに基づいて新たに開発されたGA-Fプラットフォームだ。溶接技術に徹底的にこだわったことで重ね合わせの部分を大幅に減らして重量を抑えつつ高剛性化を図り、車両全体では200シリーズと較べておよそ200kgの軽量化に成功しているという。
そうまでしてラダーフレームを採用し続ける理由は、車体の下面が何かに当たってもボディへの影響が及びにくくするため、あるいはボディに損傷が生じてもフレームやサスペンションに損傷がなければ走ることができるため。街中での快適性を重視するならモノコックを採用するほうがいいわけだが、それをしていない。
ついでに述べておくなら、ランクル300のアプローチアングルは32度、デパーチャーアングルは26度、ランプブレークオーバーアングルは25度とほとんど200シリーズと変わらない値だ。さて、何か問題はあるだろうか?
理由その2 足まわり
フロントがハイマウント・ダブルウィッシュボーン、リヤがトレーリングリンク車軸式。フロントはスムースなホイールストロークとタイヤ接地性を考えた形式、リヤは接地性にこだわった車軸式だ。
また、もっとも強くラフロードを睨んでるグレードの「GR SPORT」では、電動デフロックが前後につくほか、前後のスタビライザーを自動で電子制御してタイヤの接地性を全体的に向上させるE-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)を採用している。
悪路のことを考えてないのだとしたら、それらは何のためのもの?
理由その3 フルタイム4WDのシステム
そしてオート/ダート/サンド/マッド/ディープ・スノー/ロックの6つから路面状況に合わせて走行モードを選べるマルチテレインセレクト。何だかんだいって、もはや何らかの機構を電子の力で制御するときの緻密さや正確さは、ドライバー自身が自分の技量で操作していくときとは比較にならないレベルにとっくに達している。
こうした電子制御系は200シリーズに採用されたものをアップデートしたもので、システムそのものの成り立ちに変更を加えてはいない。それは買い物のために悪路を何時間もかけて移動する必要があるような地域でも部品の調達などを容易にすることを考えてのことらしい。