この記事をまとめると
■かつて「自家用」と書かれたクルマをよく見かけた
■人気コミック「頭文字D」に出てくるハチロクにも同様の文字が書かれている
■この記事では「自家用」の表示義務や、最近見なくなった理由について解説する
頭文字Dのハチロクにも書かれていた!
コミック、アニメ、ゲームと幅広く支持されている「頭文字D」では、主役機たるAE86・スプリンタートレノのドアには「藤原とうふ店(自家用)」という文字が書かれていた。藤原とうふ店は、店の名前だとしてはたして『自家用』とは何なのか。今となっては、その由来を知る人も少なくなっている。
ご存じのように自動車には「自家用」と「事業用」の2種類がある。これはクルマの種類で決まるのではなく、登録時に分かれるものでナンバープレートの色で識別できるのだが、かつては「自家用」と明記することが法律で決まっていた。頭文字Dでの表記というのは、その時代感を示す、ひとつの表現といえる。
ちなみに、自家用表示を義務付けている法律は昭和26年(1951年)に制定された『道路運送法』。その第六十五条において、“自家用自動車にあつては、「自家用」”(原文まま)と自動車の外側に表示しなければならないと、じつは今もその条文は残っている。
ところで自家用と事業用は何が異なるのかご存知だろうか?
自家用という言葉が示すのは、自家用車という言葉もあるように個人所有でパーソナルユースのクルマと思いがちだが、バスやトラックでも自家用は存在する。自家用というのは、有料で旅客や貨物を乗せない(載せない)クルマのことを指している。
つまり乗用車であっても、タクシーは事業用であるし、バスやトラックであっても企業が自社の業務でしか使わない場合は自家用となるのだ。
そして、同じ乗用車であっても事業用のタクシーは車検が毎年になり、法定点検のサイクルも短くなる一方で、自動車税(この場合は営業用として分類される)は自家用よりも低額となるという違いがある。