ヒット車の「車名」にあやかって大誤算! じつは難しい「派生車」と失敗した3台 (2/2ページ)

「こんなのあったっけ?」と言われるような悲しき存在も

2)トヨタ・パッソセッテ(2008年)

「ミニバンユーザーの気持ちをまったく理解できていない!」と怒りすら感じたのがパッソセッテだ。パッソをベースにしたコンパクトミニバンだが、3列目は狭く、サッパリ売れなかった。

 決定的なのが車名だ。ミニバンは価格の安い小さな車種でも、幸せな家族の象徴だ。子供が生まれてミニバンを購入して、お父さんは「さあこれから子育てと仕事を頑張るぞ!」と、決意を新たにするのだ。そこにパッソの車名を付けたらどうなる? これから頑張るぞ! という気持ちになれますか? こんな車名を付けるのは、ミニバンとしての開発コンセプトが定まっていない証だ。

 案の定売れず、2010年に一度生産を終えたシエンタを2011年に復活させる異例の事態となった。そしてパッソセッテは、2012年に1代限りで終了した。トヨタとしては珍しい大失敗であった。

3)日産キューブ キュービック(2003年)

 パッソセッテほど酷くないが、日産も似たような失敗をしている。それがキューブキュービックだ。2代目キューブの全長とホイールベース(前輪と後輪の間隔)を伸ばした3列シートミニバンだが、キューブとの違いがわかりにくい。

 開発者は「ミニバンに乗っていると思われたくないお客様もおられるから、あえてキューブと同じように見えるデザインにした」と述べた。これじゃダメでしょ。せっかくミニバンを買ったのに、友人から「へー、キューブに乗ってるんだ。子供が生まれたんだから、ミニバンにすればイイのに」などと言われてしまう。

 派生車種にもアルトラパンのような成功例もあるが、失敗例が目立つ。ほかにもN-BOXスラッシュ、フィットアリア、カローラルミオンなどが思い浮かぶ。人気車の車名にあやかるのは、要は自信がないからだ。ノートオーラには、頑張って派生車種の新たな星になってもらいたい。応援しているぞ!


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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