一番左の走行車線とは何が違う? わざわざ「登坂車線」が設けられるワケ (2/2ページ)

右側に付帯車線をプラスした方がクルマの流れはよくなる

 こうした上り坂すべてに登坂車線があれば、かなり渋滞の発生を防げるはずだが、残念ながら、「道路構造令」には「必要に応じ設けるものとする」とあり、縦横勾配が5%以上の一般道、3%以上の高速道路でも、登坂車線が設置されていないところもある。

 さらに残念なのは、この登坂車線を走行車線の左側に付加車線としたところ。

 左側に登坂車線を設けるということは、動力性能に余裕のない、機動性の悪いクルマを車線変更させて、さらに登坂車線の終点では再び走行車線に合流させることを強いるわけで、これは正直賢いやり方とは言い難い。

 坂道など、全体の速度が低下してくる区間で自然渋滞が起きるときは、先を急ぐクルマが追い越し車線に移ってくるので、追い越し車線から「交通集中による渋滞」がはじまる。

 そう考えると、誰がどう考えても「登坂車線」を左側に追加するより、右側に付帯車線をプラスした方がクルマの流れはよくなるというもの。

 実際、渋滞のメッカとして名高い中央道(上り)の小仏トンネルの手前で、1.2kmの「右側付加車線・左側絞込み方式」を採用したところ、通常の登坂車線方式に対し、14%も渋滞量が軽減したという結果が出ている。

 このことから、せっかく登坂車線を用意するなら、是非とも理にかなっている「右側付加車線・左側絞込み方式」にしてもらいたいし、既存の登坂車線も順次「右側付加車線・左側絞込み方式」に切り替えていって欲しいところだ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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