黄色ナンバーは料金所のスタッフが識別しやすかった
いくつかの説から、有力なのは高速道路に関するものだ。いまのようにETCが存在せず、料金所でチケットを受け取り、現金で支払っていた時代には料金所スタッフがパッと見て軽自動車と登録車を識別する必要があった。
また、かつては高速道路の制限速度も軽自動車と登録車は異なっていた。20世紀は軽自動車の最高速度は80km/hと規定されていたのだ。つまり取り締まりにおいても、ひと目で軽自動車と登録車を区別する必要があり、そのためには明確に違いがわかるよう色を変えることは妥当だったのだ。
とはいえ、ご存じのように高速道路におけるETCの利用率は93%を超えている。つまり料金所で識別する必要はない。そして制限速度についても軽自動車と登録車は同じ速度となっている。少なくとも、この2点についていえば軽自動車とひと目で区別するためにナンバープレートの色を変える意義はなくなっているといえる。
そもそもナンバープレートの色が同じであっても、軽自動車であることは外観で判別できるポイントがある。それがリヤ・ナンバープレートの封印の有無だ。登録車ではナンバープレートを外せないよう封印されているが、軽自動車はあくまで「届出車」であるため封印が不要なのだ(これは二輪などでも同様)。
「白いナンバーだから軽自動車に見えないだろう」なんて思うのは浅はかで、見る人が見れば軽自動車(届出車)と登録車は簡単に識別できる。逆にいうと、そうであれば敢えて黄色いナンバープレートにして誰でも区別できるようにしておく必要性はないともいえる。
東京オリンピック・パラリンピック2020の特別ナンバーによって、軽自動車も登録車も同じような白いナンバーにしても問題が起きないことがはっきりした。これを機に、ナンバープレートの色を揃えることを検討してもいいのではないだろうか。
もっとも、法的にいうと登録車のナンバープレートは「自動車登録番号標」といい、その表示義務は道路運送車両法 第19条第1項によって定められている。一方、軽自動車のナンバープレートは「車両番号標」であり、その表示義務は道路運送車両法 第73条第1項によって定められているなど、まったく異なるものであり、容易に「共通化すべし」などと言うことはできないのだ。