空冷エンジンはオーバーヒートしないと思っていたあさはかさ
空冷エンジンという言葉を聞くと、オレは命を賭けたあの事件を思い出す(多少大げさな表現です)。それはオレがまだ、モータージャーナリストというよりは、誰もが通る道である、「クルマ運びやクルマ磨き」のバイトだった頃のこと。ウチの師匠がいわゆる901型のナロー・ポルシェを所有していたので、それを借り出して新潟までお盆の帰省に出かけた時の話だ。
関越道はどこがアタマだったのかは覚えていないけれど、確か40kmほどの渋滞。最初はクラッチのことを気にしていたのだけれど、途中できわめてシンプルな疑問が頭の中をよぎる。
「空冷エンジンって、オーバーヒートするのかな」。
当時、今から30年ほど前の話だから、すでに高速道路の路肩には力尽きて助けを待つクルマもチラホラ見え始めてきた。そうか、やつらは水冷エンジン、エンジンを冷やすためには水を使うわけで、それが100度を超えれば沸騰して終わりということか。オレは空冷だから、気温はせいぜい40度止まり。オーバーヒートする心配などないわ。
あさはかである。バカとしか言いようのない発想だ。