働き方改革と費用対効果で営業している店舗は少ない
先日、いまはマネージャーとなっている、かつてのベテランセールススタッフに会った時に、「夏になるとお盆休みの当直を思い出します」と話し出した。
バブル入社組の最後発として社会人となったこのマネージャー。「あのころはとにかく店を開けているだけで新車が売れました。毎日21時や22時あたりまで店舗にいるのは当たり前でした。休みも週に1日取れれば御の字でした」とのこと。日々満足に休みが取れなかったからこそ、新車が飛ぶように売れていた当時でも、年末・年始、ゴールデンウイーク、お盆はしっかりと長期休みが設けられていたとのこと。
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「会社としてはお盆休みとなるのですが、休みの期間中に交代で各店舗のセールスマンが1名ずつ”当直”として順番に店舗に詰めることになっていました。家族のいる先輩や上司は帰省や家族旅行に出かけたりするので、当直を嫌がっていましたので、独身でやることもなかった私が代わって当直をよく請け負っていました」(前出マネージャー)。もちろん、当直すれば日当はもらえるので、このマネージャーは結構儲けさせてもらったと話してくれた。
マネージャーによると、当直といってもとくにやるべき仕事はなく、朝から夕方まで店舗に詰めているだけでよかったとのこと。「いわゆる”電話番”ですね。お客様から『クルマをぶつけて動かなくなった』などのお電話をいただいたら、JAFの連絡先を伝えておりました。あとは、新車を見に来るようなお客様がいれば対応するようにとされていました。しかし、ほとんど電話もお客様も来ないので、午前中は自分のクルマの洗車を念入りに行い、午後からはレンタルビデオを借りてきて、ショールームの冷房を効かせて観ていました」(前出マネージャー)。
本社には、販売担当役員も当直で詰めており、仮に商談があったら値引きなどでは、直接役員決裁をもらうことになるので、当直の時はいきなり好条件が出ることが多かったようだ。
自分が休みの日に、当直している同期のところに遊びに行き、そのまま夕方からは飲みに出かけたこともあったそうだ。
昭和天皇が亡くなり、大喪の礼が行われる日も休日となったのだが、マネージャーは当直担当となり、日の丸を半旗掲揚したこともあったと語ってくれた。
「新車がとにかく良く売れていたころの話です。その後にバブルが崩壊しました。そうなると、あまり意味のない当直は光熱費の無駄使いになるとされたりしてなくなりました。セールスマンの”ひと不足”も目立ってきて割り振りができなくなったこともあるようでした」とマネージャーは少々寂しがっていた。
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一時期ゴールデンウイークやお盆の時に休まず営業を続ける動きも新車ディーラーでは目立っていたが、やはり費用対効果が悪すぎることや、スタッフ不足、そして”働き方改革”などもあり、いまでは当該セールスマンも”休みすぎでは?”と思うほどガッツリと休むディーラーが増えている。
長期間休むことができるのはいいが、長期休暇のある月はそれだけ稼働日数が少なくなるので、ノルマ達成ができるかできないかで、かなりプレッシャーを受けるセールススタッフも少なくないようである。