ショックを吸収するのがバネの役目
一般に「サスペンションを交換する」あるいは「サスペンションをいじる」といったときの「サスペンション」とは、バネとダンパーのことをサス、いや指す。
このバネとダンパーは、クルマの振動・衝撃を緩和するのが目的のパーツだが、バネとダンパーでは役割が違う。その役割を確認してみよう。
まずはバネ。
走行しているクルマがロールしたり、ピッチングしたり、あるいは路面のデコボコを拾ってサスペンションが縮もうとするとき、このバネが縮んでショックを吸収するのがバネの役割。難しくいうとバネの弾性を利用して緩和するのが、バネの仕事となる。
ところが、一旦縮んだバネは、元のカタチに戻ろうとする力もあって、放っておくとしばらくの間、伸びたり縮んだりを繰り返すことになってしまう。
つまり、バネはエネルギーを吸収するというより、エネルギーを保存する性質を持っているということ。そこで、そのバネの動きに抵抗を与え、伸び縮みしようとする運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、運動エネルギーを吸収するための装置=ダンパーが必要になるというわけだ。
また、クルマの重量はバネを介して支えられているといってもよく、チューニングで車高を下げたり・上げたりするときは、このバネを交換するのが定番だ。
そしてバネの強さは、乗り心地にも大きく影響するし、ロール量・ピッチング量もバネの強さ=バネレートで決まる。
そのバネの強さは、バネの線径、巻径、巻数で変わってくる。線径が太いと、バネはすごく固くなり、巻径が太いバネはソフトになる。巻数も多い方が柔らかくなる。
乗用車の場合、エンジンが一番重たいパーツなので、フロントエンジンのクルマは、フロントサスのバネレートがリヤよりも高いのが一般的。しかし、FFなどでフロントの接地性をよくしたいときは、リヤのバネレートを高め、反対に後輪駆動車でトラクションを重視したいときは、フロント側のバネを相対的に強くするといったセッティングが施される。