たった1本を回すだけでホイールの脱着可能! 便利なハズの「センターロックナット」が量産車に普及しないワケ (2/2ページ)

量産車では安全面や締め付けトルクなどがネックに!

 では、量産車でセンターロック方式が使われないのはなぜなのか、という点だが、やはり信頼性の問題がいちばん大きな要素と考えられる。道路運送車両法の保安基準に照らし合わせれば、センターロック式も合法なのだが、メンテナンスも含めた信頼性の点で、やはり4〜5個のナット(あるいはボルト)を使って固定する方式のほうが安全係数は高い。

 ナット固定の方式なら、4個あるいは5個のナット(ボルト)のうち、仮に1個が緩んでも、ホイールはハブに固定されたままで何事も起きないが、ナット1個で固定するセンターロック方式では、ホイールは外れてしまうことになる。

 また、ホイール脱着のためのレンチも大型のものとなり、適正トルクで締め付けなければならないことまで考えると、量産車のレベルでセンターロック化することはリスクのほうが大きくなってしまう。複数個のナットで固定するのは、こうした意味も含まれている。

 ところで、モータースポーツの世界では、その優れたサービス性が重視され、専用設計で対応できるほとんどのカテゴリーでセンターロック方式は採用されてきた。唯一、例外的だったのがNASCARで、長らく15インチのスチールホイールと5個のナットで固定する方式が採用されてきたが、さすがにレースカーとしては非論理的、非現実的ということになり、18インチのセンターロック式アルミホイールが使われることになった。

 市販車の延長メカニズムであること、車両コストを抑えることがNASCARレギュレーションの骨子だが、ほとんどの個所にレース専用設計のパーツが使われる現状を考えると、18インチのセンターロック式アルミホイール化は必然の帰結だったのかもしれない。


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