ゴールド以外もオンライン講習を実施すべき
ゴールド免許と呼ばれる優良運転者向けの運転免許証の更新の際、今年度から、北海道、千葉県、京都府、山口県で、オンライン講習が試験的にできることになった。この動きは、2024年度へ向けて全国にも広がる予定だ。
オンライン講習の目的は、行政のデジタル化の一環である。とくにコロナ禍においては、講習への参加に人数制限を実施しており、更新手続きの時間短縮や、混雑緩和への効果が期待されている。また運転免許センター側の人員整理といった業務の効率化も期待されている。
オンライン講習を受けるには、マイナンバーカードと呼ばれる個人番号カードによる認証機能を使うため、マイナンバーカード普及の一助にもなる。
ただし、更新手続きは従来通り警察などへ出向いて行う必要がある。運転免許証を所持する人にとって、どれほどの省力化になるかは疑問だ。
この取り組みが、いまは試験期間であるとはいえ、その目的達成のためであればゴールド免許に限定せず、すべての運転免許所持者へ実施すべきだろう。ゴールド免許以外の人の講習時間のほうがより長いからだ。マイナンバーカードで認証するなら、受講したかしていないかは判別できるはずだ。
ところでゴールド免許は1994年から施行された。5年間交通違反がないことで、交通事故はどう変化したのか。交通事故件数の推移の統計をみると、その後10年間にわたり交通事故件数は増え続けている。2004年から減少へ転じているが、衝突被害軽減ブレーキでの衝突回避(自動ブレーキによる停車)の車載が可能になってきた時代に重なる。あわせて、交通事故死者数も減少していくのだ。つまり、ゴールド免許というより、自動ブレーキの普及が近年の交通事故減少の大きな理由といえそうだ。
クルマの運転は移動手段における一つの権利であり、運転免許証を取得した人は基本的にみな平等であるべきだ。交通違反に対する罪の償いは、反則金や減点などですでに行っている。ゴールド免許とそれ以外という区別のつけ方は、一種の差別といえるだろう。