変顔グルマの代表格も愛されている
同じイタリタ生まれのフィアット・ムルティプラも忘れられない。1950〜60年代に存在したリアエンジン3列シートのコンパクトミニバンの現代版で1998年発表。3人掛け×2列の6人乗りなので短いのに幅広い外寸も目を惹いたが、それ以上にデザインが凄かった。
ノーズとフロントウインドウの間がオデコのように盛り上がり、ヘッドランプは通常の場所以外にもあった。金魚鉢のようなガラス張りのキャビン、細胞分裂を見るようなセンターメーターなど、それ以外も独創の固まり。
海外の記事ではugly(醜い)という文字を多く見かけた。フィアットはその声に応えるようにフツーの顔にマイナーチェンジ。でもアメリカではMoMA(ニューヨーク現代美術館)に展示されるなど、専門家の評価は高い。
僕も何度か乗ったが、ショートホイールベースの身のこなしとワイドトレッドの安定感が両立していて、背の高さを忘れさせる楽しいクルマだった。