高い比率でETC2.0の普及が進んでいるといえる
そのほか、通常は高速道路を降りると次に乗ったときに初乗り料金が必要となるが、いまETC2.0を使った「賢い料金」という一時退出・再進入の社会実験がおこなわれている。これは対象のインターチェンジで降りて、対象の道の駅に立ち寄り、ふたたび対象のインターチェンジから高速道路に乗ることで、初乗り分の加算を受けずに済むというもの。とはいえ、対象となっている道の駅は全国で23か所しかなく、現時点ではその恩恵を受けられるドライバーは限られる。
いずれにしても、日常的にETC2.0限定の料金サービスを受ける状況になければ、あえてETC2.0車載器を導入するインセンティブにはならないだろう。実際、ETCよりETC2.0は高価だからだ。
では、ETC2.0を選ぶユーザーは増えているのだろうか。
ITSサービス高度化機構の発表している統計によると、2021年6月時点でのETCの累計セットアップ件数は1億498万4281件で、うちETC2.0は843万1513件でしかない。
ちなみに、この数字にはクルマのオーナーが変わったときの再セットアップも含んでおり、約659万台のETC2.0車載器が世の中に存在しているという。この数字からは、ETC2.0は少数派に思えるが、さにあらずだ。
2021年6月における新規のETCセットアップを見ると、全体として48万9782件のうちETC2.0は14万5222件となっている。おおよそ3人に一人がETC2.0を選んでいるのだ。
このあたり、ユーザーが積極的にETC2.0を選んでいるといよりも、多くの新型車においてETC2.0車載器が標準装備されていることも影響しているのだろう。それにしても意外に高い比率でETC2.0の普及が進んでいると感じさせられる数字だ。
というわけで、タイトルに記した「ETC2.0は成功している」かどうかについてだが、少なくとも新規セットアップ件数や利用率の数字から見ると順調に普及しているといえそうだ。
当初、ETC2.0は渋滞を回避するルートを選んだことで料金を下げるようなサービスも実施する計画だった。交通量をコントロールするような制度とサービスにより、もっとETC2.0を選びたくなるような仕組みに進化することを期待したい。