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基本は同じでも「走り」が全然違う! メーカー違いの「兄弟車」に「個性の違い」が出る理由 (3/3ページ)

基本は同じでも「走り」が全然違う! メーカー違いの「兄弟車」に「個性の違い」が出る理由

同じ車体でも車種ごとに味付けが違うヒミツ

 クルマの世界では、基本、中身が同じ、兄弟車というべきモデルがある。ひとつはOEM(Original Equipment Manufacturer)車で、ある自動車メーカーが製造するクルマを、別の自動車メーカーに供給したり、共同開発するものだ。具体例としては、日産デイズと三菱ekワゴン/クロス、トヨタ・ルーミーとダイハツ・トール、トヨタ・ライズとダイハツ・ロッキーなどがある。

 そして海外の自動車メーカーが製造したクルマを日本向けにアレンジしたモデルもあり、たとえばホンダには、かつて初代ホンダ・レジェンドが英国のローバー800シリーズ、コンチェルトもローバー200シリーズ、クロスロードはランドローバー・ディスカバリーと、いくつかのOEM車があった。スバルのトラヴィックはオペル・ザフィーラである。これらは顔つきなどエクステリアの一部を自社仕様にしたぐらいで、基本的な装備、走行面に変わりはない。しかし、価格は本家に比べかなり安く、お買い得でもあったのだ。

 ただし、マツダ・ロードスターとイタリアのアバルト124スパイダーのように、エクステリアだけでもかなりの違いがあり(フロントオーバーハング含む/アバルトのほうが長い)、エンジン(ロードスターはNA、アバルトはターボ)、サスペンションも別物、という例もあり、当然、走りのテイストもかなりの違いがある。共同開発ではないにしても、アバルトはかなりの部分に手を入れているわけだ。もっとも、両車ともに生産はマツダの広島の工場である(現在アバルト124スパイダーは生産終了)。

 さて、本題である。基本中身は同じなのに「走りが違う」クルマとして、トヨタ86とスバルBRZがある。新型もスバルとトヨタの共作であることは先代通りで、設計、生産はスバル、企画やマーケティングをトヨタが担当する。

 ただし、両車それぞれのメーカーのテストドライバーが走りの味付けを行い、また走りにかかわる細部のアイテムもそれぞれメーカー独自のものを採用しているから面白い。たとえば、フロントのハウジングの素材(BRZはアルミ、GR86はスチール)、サスペンションのスプリングレート、スタビライザーなども異なり、BRZのほうがややソフト、ステアリングの応答性も穏やかなセッティングとなっているようだ。

 こうしたポイントは、スポーツカーとして狙い定めた方向性の違いによるものと言ってもいいかもしれない。もちろん、両車ともに同排気量のエンジンだが、その操縦感覚、パワーフィールも独自の味付けになっている。考えても見れば、両自動車メーカーとして、自社の独自のテイストを出さなければ、意味がないだろう(だからそれぞれに熱いファンがいる)。バッジだけが違うスポーツカーには決してしたくはないというわけだ。

 そして、見た目のシルエットこそ変わらない両車だが、走れば、86はオンロードの高車速域でのスポーツ性能が光り、しかしエンジンサウンドは控え目。BRZはエンジンのパワフルさ、パンチ力を感じやすく、また雪道でのトラクション性能、安定感にも配慮されている……といった違いがあったりして、運転スキルのある人なら、両車を乗り比べれば、その違い、そしてどちらが好みかがわかるに違いない。

 先代を思い起こせば、より幅広いユーザーに向く、サーキット走行も楽しめる自然なドライブフィールを特徴とするのがBRZ、ドリフトなどマニアックな走りの世界を好むユーザーに向いているのが86という構図は、新型でも大きくは変わっていないようだ。

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