同ブランド内の兄弟車・姉妹車は減っている
とはいえ、兄弟車・姉妹車にもトレンドがある。現時点で増えているのは、トヨタとスバルが共同でGR86/BRZを開発したパターンや、フォルクスワーゲンがグループ内で開発リソースを最適配分するようなパターンだ。これは自動車業界100年に一度の大変革期と呼ばれるなかで、各ブランドが生き残るための策でもある。
逆に減っているのが、アルファード/ヴェルファイアのような同一ブランド内における兄弟車・姉妹車だ。この場合、リソースの効率化とは逆の意味合いがあるからだ。
そもそも、こうした車種が必要だったのはトヨタの販売チャネルが複数あり、それぞれで異なるモデルを扱うというビジネスモデルだったゆえだ。しかし、すでにトヨタの各販売店では全モデルを取り扱うようになっている。販売チャネルに合わせて異なるモデルを生み出す必要はないのだ。コンパクトなスライドドアモデルはルーミーとタンクという兄弟車・姉妹車についてはルーミーに統合された。現在は複数モデルが用意されているミニバン系についても遠からず一つのモデルに統合されるだろう。
さて、ここまで「OEM車」については兄弟車・姉妹車の中には含まずに話を進めてきた。一般にOEM供給というのはダイハツの軽自動車をトヨタのピクシス・ブランドで展開しているケースや、スズキの軽自動車をマツダ・ブランドで販売しているケースを指す。
OEM車の場合、どこが兄弟車・姉妹車と違うのかといえば、そもそもの企画段階でパートナーとなる企業が関わっていないことが多い点が異なる。GR86/BRZの場合は、主な開発と生産はスバルの担当だが、トヨタのデザイナーなどがスバルに常駐して開発を進めたという。OEMの場合は、そうしたエンジニアやデザイナーレベルでの交流はほとんどない場合が大半だ。なかには商品開発の段階ではOEM供給する予定がないこともあるほどだ。そうした事情が兄弟車・姉妹車とOEM車を区別するポイントとなるが、外野からはわかりづらいのも、また事実だ。