パワーよりもトルクだった! 一般人がカタログで見るべき「本当に必要な」数字

トルクのあるクルマは走り出しのストレスが少ない!

 エンジンには馬力とトルクがあるのはご存知だろう。カタログのスペックにも明記してあって、クルマ選びの基準にしている人も多いだろうし、新車が出た場合、その性能を知る物差しになる。500馬力達成! となれば凄いというのは一目瞭然だ。

 そのため、馬力ばかりに目がいきがちなのだが、実際には、レースにでも出ない限りトルクを重視したほうが、街乗りとしては快適だったりする。最近は平均速度も落ちてきているのでなおさらだし、渋滞にはまってストップ&ゴーを繰り返すような場合も同様だ。

 パワーとトルクとはなんぞやというはあちこちで説明されているので、ここではあえて詳しいことは割愛するが、簡単に言ってしまうと、パワーは1秒間の仕事量で、トルクは1回転あたりの力ということになる。最近のカタログには出力曲線が載っていないこともあるが、馬力とトルクは基本的にリンクしていて、馬力のあるエンジンは、トルクも大きい。トルクはかなり小さいのに、馬力だけはめちゃくちゃあるということは基本的にない。

 それでは、トルクで見るのではなくて、単純に馬力で見ればいいのでは? と思うかもしれないが、ポイントはそれぞれ出る回転数が違うということ。エンジンによってけっこう違うが、基本的にはトルクは低回転からそこそこ大きく出て、ある程度で頭打ちになりつつ、高回転で一気に落ちることもない。

 一方、馬力は右肩上がりで、最後のレブ付近で落ちたりするが、低回転ではかなり数値は小さい。要は高回転まで回さないと本来の性能が発揮できないと言える。「300馬力のクルマでも、街乗りで使っているはその何割かだ」とよく言われるが、それはこの特性が理由なのだ。

 つまり低回転のトルクが大きなエンジンであれば、発進からそこそこの速度まではストレスがないということ。その昔、ターボは低回転のトルクがスカスカと言われ、実際に気を使ってかなり乗りにくかったが、この状態をイメージしてもらえればいい。大パワーでも、低回転でのトルクが小さかったら乗りにくいし、その逆に、普通に乗るにはトルクを重視したほうがいい。街中で常に高回転をキープして走るというのは不可能だけになおさらだ。

 購入時にスペックを見て、ライバルを比較したり、先代からの地道な進化を確認する際には、メーカーのリリースを見ても、馬力はそのままだが、トルクをアップして乗りやすくした、というような表記があったりするので、ぜひトルクを確認してみてほしい。馬力合戦というのは楽しいのは確かではあるが。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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レストア、鉄道模型(9mmナロー)、パンクロック観賞
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