クルマのバネ下重量は乗り心地に関係する
クルマのように動くモノ、運動する物体というのは軽ければ軽いほど慣性力が小さくて、運動性が高くなる。
だからこそアルミだ、カーボンだ、チタンだ、と高価な材料を使って軽量化に走るわけだが、車体全体のなかでも、「バネ下」の軽量はとくに効果が大きいといわれている。
この「バネ下」とは、簡単にいうと、クルマをリフトで上げたときに垂れ下がってくる部分のこと。
もう少し詳しくいえば、タイヤ、ホイール、ハブ、ブレーキ、サスペンションアームなどの総重量が「バネ下重量」になる。
これらの「バネ下」のパーツたちは、路面の凹凸に合わせて上下するので、これらのパーツが重いと、そこに慣性が働き接地性が悪くなる。
つまり路面のデコボコに対しての追従性が悪く、タイヤが地面にしっかり触れていない時間ができ、運動性能をスポイルしてしまうということ。
同時にサスペンションの動きも悪くなるので、必然的に乗り心地も低下する。
この乗り心地に関しては、バネ上とバネ下の重量比が大きいほどよくなる。そういう意味ではバネ下以外のボディ側の重量を増すという方法もあるが、それは運動性能全体のマイナスにしかならないし、重量比を考えればバネ上よりもバネ下を軽量化した方が何倍も効率的。たとえば車重が1500kgで、タイヤ+ホイールの重量(4本分)が20kgだとすると、タイヤ・ホイールの車重に対する割合は、約1.4%。バネ上とバネ下の重量比を大きくするなら、バネ上を100kg重くするより、バネ下を1kg(4本で4kg)軽くしたほうが効果が大きいということになる。
俗に「バネ下重量1kgの軽量化はバネ上10kgに相当する」というのはこのためだ。また、バネ下重量の軽量化は、燃費向上にも多少つながる。