昔はワゴンRもスカイラインも売れていた
ちなみにワゴンRは、1993年に初代モデルを発売して、15年後の2008年に300万台を達成した。ワゴンRはNシリーズと違って単一車種だから、15年で300万台ならばこれも相当に多い。200万台を達成したのは2004年だから、初代モデルの発売から11年後だ。N-BOXの202万609台も約10年後だから、ワゴンRは同等の勢いで売れていた。
またスカイラインは、1957年に初代モデルを発売して、国内の累計登録台数(海外販売を除く)が300万台に達したのは46年後の2003年であった。11代目のV35型において、国内の300万台に達した。
スカイラインは、決して登録台数の少ないクルマではなかった。1973年には、前年に発売されたケンメリの愛称で親しまれた4代目が15万7598台登録されている。1カ月平均が約1万3000台だから、2021年1〜6月におけるN-BOXの1か月平均となる約1万8000台に迫る。当時のスカイラインは、圧倒的な売れ行きを誇った。
また2021年1〜6月におけるスカイラインの1カ月平均は約280台だから、1973年には今の64倍売れていた。それでもなお、スカラインは国内で300万台を登録するのに46年を要している。1973年に15万台以上を登録しても、1980年以降は約10万台に下がり、1985年を過ぎるとさらに落ち込んだからだ。
1980年代の後半はバブル経済の絶頂期で、ほかの車種は売れ行きを急成長させ、国内販売総数は1990年に778万台(2020年の1.7倍)のピークを迎えた。それなのにスカイラインは伸び悩んだから、フルモデルチェンジの度にボディを大きくしたり逆に小さく抑えたりと紆余曲折であった。
当時のスカイラインは「コンセプトが云々」などといわれるが、開発者は悩み、苦しみ、さまざまなトライを繰り返していたのだ。
その意味でN-BOXは、実用指向の車種とあって安定的に売られているが、今後も末長く安泰とは限らない。なぜN-WGNが伸び悩むのか、新たな軽自動車の開発も含め、N-BOXへの依存度を抑えることがNシリーズの将来を支える。