ズバリ乗降性にすぐれたクルマとは
では、実際に各車の後席のフロアに対するシートの高さ(=ヒール段差)を見ていこう(すべて筆者の実測)。
軽自動車人気No.1のジャンル、両側スライドドアを備えた、基本的にリヤドアの開口部とフロアに段差がなく、フラットに続く掃き出しフロアを持つスーパーハイト系軽自動車のフロアに対するシートの高さ(=ヒール段差)は、日産ルークス380mm、スズキ・スペーシア360mm、ホンダN-BOX 340mm、ダイハツ・タント330mmの順になる。ルークスの380mmは、高い天井高を生かし、かなり高めで、座りやすく、立ち上がりやすい位置にあるということだ。
※画像はN-BOX
ちなみにスライドドア開口部の高さでは、スペーシア1250mm、N-BOX1240mm、ルークス1235mm、タント1200mmの順になる。同時に重要な、スライドドア部分のフロア地上高は、スペーシア345mm、ルークス360mm、N BOX360mm、タント360mmで、そう大きな違いはない。どれも足運びしやすい高さにフロアがある。
※画像はタント
Mクラスボックス型ミニバンの2列目席のフロアに対するシートの高さ(=ヒール段差)は、トヨタ・ヴォクシー&ノア370mm、ホンダ・ステップワゴン360mm、日産セレナ340mm。この3台では、比較的ヴォクシー&ノアとステップワゴンが乗り降りしやすい(とくに立ち上がりやすい)と感じられるはずだ。
※画像はステップワゴン
また、スライドドア開口部の高さは、日産セレナ1305mm、ヴォクシー&ノア1260mm、ステップワゴン1260mmと、セレナがリード(訳アリだが)。ステップ=フロアの地上高は、掃き出しフロアのヴォクシー&ノアが360~400mm(前後位置による)、ステップワゴン385mm。しかし、セレナは1段目のステップが390mm、フロアはそこから70mm高い450mmの位置にある2ステップフロアになる(スライドドアの高さがたっぷりあるのはそのため?)。
※画像はセレナ
総合的には、やはりヴォクシー&ノアとステップワゴンに乗り降りのしやすさがありそうだ。
では、プチバンと呼ばれる5ナンバーサイズのコンパクトハイトワゴンのスズキ・ソリオとトヨタ・ルーミー&ダイハツ・トールはどうだろう。後席のフロアに対するシートの高さは、ルーミーとトールが335mm、ソリオは355mmとなる。スライドドア開口部の高さはルーミーとトールが1190mm、ソリオが1220mm。ステップ=フロアの地上高はルーミーとトールが366mm、ソリオが365mmと大きく違わない。
※画像はソリオ
とすれば、後席のフロアに対するシートの高さがポイントで、20mm高くセットされたソリオの座りやすさ、立ち上がりやすさに注目すべきだろう。
これまで、スライドドア開口部やステップの高さが乗り降りのしやすさの指標のひとつとなってきたが、実際の乗車、降車では、後席のシートの位置、フロアからの高さもまた、とくに子供を抱いた親や高齢者の座りやすさ、立ち上がりやすさに直結するということだ。なお、シート自体のかけ心地については、リビングのソファ選び同様に好みがあるし、体重、身長によっても着座感が異なるため、ここではあえて省いている。