ひと目でゴルフとわかる外観とデジタル化されたインテリア
■日本未発売、最新型8代目のゴルフとは?
8代目ゴルフ(ゴルフ8) 2019年〜
そして2019年、フルモデルチェンジして誕生したのが8代目ゴルフ(ゴルフ8)だ。日本への導入は2021年の6月と、本国のデビューからかなり遅れてしまったが、待つだけの甲斐のあるモデルとなっている。
エクステリアは、各部に歴代ゴルフのアイコンが散りばめられており、ひと目でフォルクスワーゲン・ゴルフであることがわかるもの。特に印象的なのは初代から一貫している「L」字型の太いCピラー。それはまるで引き絞った弓のようであり、今にもゴルフ8を前方に解き放ちそうなイメージとなっている。
スリーサイズは全長4295mm×全幅1790mm×全高1475mmと先代モデルよりも全長と全高は少しだけ大きくなったが、全幅は逆に小さくなっている。
基本的なデザインは水平基調でダイナミック。LEDとなったヘッドライトも薄型のデザインに変更され、サイバーな印象になった。
そして、このサイバーな印象は、ドアを開けて車内に身を滑り込ませるとより強く意識させられる。ゴルフ8の最大のトピックとされているインテリアは、”Digital Cockpit Pro”のデジタルメータークラスターと、同視覚軸上で結合されたデジタルディスプレイが存在感を放つ。
各種操作系はデジタルディスプレイに集約されており、必要最低限のスイッチ、それも触れて左右に指をスライドするタッチスライダーなどが配されるのみのシンプルなものとなっている。ただし、運転席から見える景色は歴代ゴルフと同様であり、乗り換えによって戸惑うことは少ないだろう。
パワーユニットは110馬力の1リッターTSIエンジンと150馬力の1.5リッターTSIエンジンを用意。いずれも48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わせられており、スタート時にはモーターがエンジンをサポートしてくれるため、スムーズな加速を実現している。
日本での展開は4グレード構成で、1リッターTSIを搭載するのが、「eTSI Active Basic」と「eTSI Active」で、価格はそれぞれ291万6000円、321万5000円。1.5リッターTSIを搭載するのが「eTSI Style」「eTSI R-Line」で、それぞれ370万5000円、375万5000円となる。
ちなみにドイツ本国ではディーゼルエンジンの「GTD」やスポーツモデルの「GTI」、GTIをさらにパワーアップした「GTIクラブスポーツ」、トップモデルで最強のゴルフとなる「R」も発売されている。
現状、日本導入のアナウンスはされていないこれらモデルのいずれかに興味があるなら、歴代ゴルフの日本導入モデルを鑑みるに、「待ち」という選択肢もありだろう。
■ゴルフが愛される理由
ここまで初代からの歴史をおさらいし、そして最新モデルとなる8代目を紹介したが、それによってわかったのは、歴代ゴルフがいつの時代でもフォルクスワーゲン・ゴルフであり続けたということだ。これはどういうことかというと、ライバルである他車がフォルクスワーゲン・ゴルフに追いつき追い越すために常に変化を余儀なくされていたのに対し、フォルクスワーゲン・ゴルフはいつの時代もトレンドの半歩先を行き、フォルクスワーゲン・ゴルフとしてデビューして絶対的な個性を維持できたことに他ならない。
いつの時代のフォルクスワーゲン・ゴルフも、いつまでも飽きの来ないシンプルで無駄のないデザインを持ち、決して最速ではないが安定していて安心感のある操縦性があり、コンパクトカーというクラスを超えたクオリティを有し、信頼性の高いメカニズムを備えていた。これらすべてを高い次元で両立するバランス力の高さこそがフォルクスワーゲン・ゴルフの魅力のすべてであり、そして時代を超えて愛され続けている理由だ。
■まとめ
はたして日本導入がされたゴルフ8も、この勝利の方程式により、その成功は約束されているようなものだ。たまにはフォルクスワーゲン・ゴルフを慌てさせるようなライバルが登場するのを見てみたい気もするが、未来に登場するゴルフ9も、そしてゴルフ10もゴルフ11も、そんなライバルの半歩先を行っているはずだ。これからもずっとフォルクスワーゲン・ゴルフがフォルクスワーゲン・ゴルフであり続けるために。