マニアックな車種の宝庫! 「マイアミバイス」がクルマ好きの心に刺さりまくりだった (2/2ページ)

日本の作品とは一味違う新鮮さが感じられた

 当時日本で人気のあった刑事ドラマのほとんどは、無事事件を解決して、“めでたし、めでたし”調のエンディングが当たり前だったのだが、マイアミバイスでは、「えっ、その先どうなるの?」というところで、ほぼ毎回終わるところが新鮮だったと覚えている。

 麻薬取引の潜入捜査なので、ソニーやタブスはアルマーニなどのブランドもので着飾り、乗っているクルマもシーズン3の第一話までは、デイトナ・スパイダーという、C3コルベットをベースにした、フェラーリ365GTBのレプリカを乗りまわしていた(その後はフェラーリ・テスタロッサとなった)。

※写真は365GTBのイメージ

 本物ではなく、レプリカというところがまたなんだかいい感じを出していた。麻薬取引の相手方であり摘発対象の麻薬ディーラーも、マセラティ クワトロポルテや、メルセデスベンツでもロリンザーなどのチューニングモデルに乗っており、出てくるクルマもこれでもかと豪華なものや相当お洒落なクルマがこれでもかと登場し、「マイアミの悪いひとはお洒落なクルマに乗っているなあ」と、そのようなクルマには馴染みの薄い貧乏学生生活をしていた筆者は感心していた。劇中歌もフィル コリンズやグレン フライなど、当時まさに“イケてる”音楽が“ビシバシ”かかっていた。

 大学の卒業旅行としてアメリカをひとりで1カ月ほど旅をしようと思い計画を立てているとき、それほど興味がなかったのだが、マイアミバイスのロケ地ということで、マイアミを目的地のひとつに加えた。手違いでマイアミ近郊のフォートローダーデールの空港に降ろされてしまいながらも、なんとかマイアミに向かうシャトルタクシー(フルサイズバンの乗合タクシーのようなもの。V8エンジンが車内にはみ出ているのを初めて見て[もちろんカバーはついている]感動してしまった)で宿泊予定のマイアミビーチ市内にあるユースホステルに到着すると、そこはマイアミバイスのロケでたびたび使われていた所であった。世界中から訪れるファンが多く、その時はドイツ人の大学生が目立っていた。夜間には食堂でマイアミバイスの上映会も行われていた。

 ひとりでプラプラしていると、日本人の大学生が声をかけてきた。「キーウエストへレンタカーで行こうと思うのだが、一緒にいかないか」と誘われた。後から聞いた話では、空港にてとりあえずひとりでレンタカーを借りてきて、このユースホステルで仲間を募り、レンタカー代をシェアしてキーウエストへ行くということはよくあったそうだ。

 とくに予定もないので話にのることにすると、その後すぐにふたりの日本人大学生も同乗することとなった。そして「どこかで遅めのディナーを」ということになったのだが、当時ユースホステルのまわりは大変治安が悪かったので、レンタカーで富裕層の住む地区に行くことにした。道中、なんか見慣れたS字カーブにさしかかった。そここそ、マイアミバイスのオープニングでテスタロッサが疾走した場所なのである(いまもそうだと信じている)。

※写真はテスタロッサのイメージ

 テスタロッサ並みとはいかないものの、かなりのスピードでS字を通り抜けた。富裕層の居住区で食事をしたあとは、当時のマイアミの夜は極端に交通量が少なかったこともあり(かなり危険だったので)、「マイアミバイスのように」と、シボレー・コルシカのレンタカーを飛ばして遊んでいたら、一方通行を誤って逆走してしまい、さらに運悪く正面からパトカーが数台やってきて、一斉にパトライトが光りはじめた。全員で英語がまったくわからないフリをしていると、ポリスが「ここは一方通行で、あなたたちは逆走しているので気をつけなさい」と注意されただけで済んだ。

 そして翌日、7時間かけフロリダ半島から島々を橋で渡って走り抜けキーウエストに無事到着した。

 マイアミバイスはそのもの自体大ファンであるが、青春時代のとても楽しかった思い出も蘇ってくるので、筆者にとってはかけがえのないテレビドラマのひとつでもあるのだ。

 タイミングよく、本国ではドン ジョンソンなどお馴染みの顔ぶれでの最新シーズンが制作されたようで、こちらも気になってしょうがない(敬称略)。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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