バカッ速「市販車」ならお任せ! 英・仏・伊メーカーを支える「特殊部隊」の圧倒的な実力 (4/4ページ)

フェラーリの開発にも携わった元チューニング屋

 では、イタリアはどうか。現在も表舞台に名前を残してるモノとしては、アバルトがあまりにも有名だ。

 アバルトは2007年に復活して以来ひとつの自動車ブランドとして存在してるわけだが、それらはフィアットをベースに開発を進めた、いわば大胆にチューンナップを加えたような側面のあるスポーツモデル。これも特殊部隊的な存在であるといっていいだろう。

 元をただせば1949年に誕生したレース屋であり、チューナーであった。レースの資金を稼ぎ出すために市販車用のエキゾースト・システムをはじめとするチューニング・パーツを開発して販売し、装着すると実際にクルマが速くなったことから、世界に名を知らしめた。

 そしてレース活動を継続する一方で、フィアットを中心とする市販車をベースにしたチューンドカーや市販車のコンポーネンツを使ったスポーツカーを開発。それらの速さをに目をつけたユーザー達もアバルトを手に入れてレースに参戦するようになり、1960年までの間に7000を軽く越える勝利を記録することになったという。

 そうした中でアバルトはフィアットと密接な関係を築いていき、1971年に傘下へ。以降はフィアット・グループ全体の競技部門的な位置づけで、フィアットはもちろん、ランチア、アルファロメオ、フェラーリなどのマシン開発に携わった。

 フィアットの124や131によるラリーでの活躍、ランチアの037ラリーやデルタによるWRCでの活躍、アルファロメオの155によるDTMやBTCCなどツーリングカー・レースでの活躍などは、アバルトの存在なくして成し得なかったものだ。

 また、市販モデルについても、アウトビアンキA112やフィアット131などのアバルトの名前が冠された高性能モデルはもちろんのこと、ランチア・デルタHFシリーズやアルファロメオ156GTAなど、フィアット・グループのスポーツモデルの開発にも関与してきている。

 1980年代や1990年代は裏方としてフィアット・グループのモータースポーツ活動や市販スポーツモデルなどを支え続けたが、2001年、フィアットは突如としてアバルトの名前を冠したラリー・マシンで公式的に競技へと参戦開始。数年の競技活動を経て、2007年、公式的にアバルト・ブランドの復活が発表され、アバルト・グランデプント、アバルト500を立て続けに市販モデルが発売されることとなった。

 アバルト500シリーズは進化と熟成を重ね、現在では595シリーズとして世界的な人気モデルとなっている。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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