PSAの特殊部隊はモータースポーツ出身
英国のドーバー海峡を隔てた反対側、フランスはどうかといえば、まずはプジョーの中にあるプジョー・スポール。1981年に”プジョー・タルボ・スポール”として設立されたプジョーのモータースポーツ部門で、その活動はとにかく幅広い。
世界ラリー選手権で猛威を奮ったグループBマシン、205ターボ16をはじめとしたラリー・マシン、ル・マン24時間レースを制したプジョー905や908HDiなどのプロトタイプ・レーシングカー、ダカール・ラリーを後輪駆動で3連覇した3008DKR MAXIのような特殊なマシンなどの開発で知られるが、一方でプライベーターがモータースポーツにチャレンジするための市販ラリー・カーの開発なども行っている。
ここのスペシャリスト達が量産型308にチューンナップを加えた硬派な308GTi by プジョースポールは、段違いの速さと楽しさを手に入れた硬派なホットハッチで、販売が終わってしばらく経つ現在でもマニアの間では絶賛の声が高いモデル。
現行モデルとしては508シリーズにも“508プジョースポール・エンジニアード”が存在し、間違いなくプジョー史上でもっとも高性能なセダン/ワゴンであるが、今のところ日本へは未導入。上陸を首を長くして待ってる人もいるくらいだ。
姉妹ブランドのシトロエンにも同様にシトロエン・レーシングがある。1990年代にはシトロエン・スポールを名乗っていたが、こちらもラリーが中心のモータースポーツ部門。あまり知られてないが、世界ラリー選手権での勝利数102回という全自動車メーカーでトップの数値である。
DS3がまだシトロエンDS3だった時代に世界限定3000台、日本には35台しか入ってこなかったシトロエンDS3レーシングは、このブランド特有の乗り心地のよさを損なうことなく速さと楽しさを膨らませたモデルで、とりわけ玄人筋の評価が高かった。
現在もプライベーターが世界中のラリーで走らせるためのラリー2規定のマシン、C3ラリー2は市販されており、WRC2クラスやWRC3クラスのポディウムの常連となっている。