フェラーリには直4モデルもあった
500 F2
ところが1952年になると、フェラーリは「500 F2」なるマシンを当時のF2にデビューさせてしまうのです。これまでの(といってもまだ10年もたってねえし)法則からすると、このモデルには6リッターのV型12気筒エンジンが搭載されていなければならないのですが、実際に使用されたのは2リッターの直列4気筒。296 GTB(2.9リッターのV型6気筒を搭載する、最新のグラン・ツーリスモ・ベルリネッタ=クーペね)で喜んでいる場合じゃねえ。フェラーリは、かつては直列4気筒エンジンさえも作っていたんですよ。
340 メキシコ/342 アメリカ/750 モンツァ
とまあ、1950年代のフェラーリの車名は何とか分かりやすいものは多いことを理解してもらえたでしょうか。ほかには「340 メキシコ」や「342 アメリカ」、「750 モンツァ」など、地名やサーキットをサブネームに加えたものが多いのです。
250 GT
そして1950年代の半ばになると、フェラーリ初の量産モデルともいえる250シリーズが登場。このシリーズにはもちろん1気筒あたり250ccの3リッターエンジンが搭載され、さまざまなバリエーションを生み出していく。ちなみに基本モデルともいえるピニンファリーナ・デザインのボディを持つ「250 GT」のデビューは1954年。
118 LM/121 LM
一方でル・マン24時間にエントリーするために「118 LM」、「121 LM」などのマシンも生み出しています。さて、118とか121とかの数字は何を意味しているのか。これまでの法則は通用しません。これはただ単にエンジンの型式、タイプ118、タイプ121を表すものであるなのです。
410 SA
1955年には、我々にも馴染み深いSA、すなわちスーパーアメリカのサブネームを掲げた「410 SA」が誕生します。車名の由来はもちろんアメリカ市場でのセールスを狙った豪華なハイパフォーマンスGTであること。アメリカはこの頃からフェラーリには魅力的な市場だったのです。
500 TR/500 TRC
そしてその翌年に誕生したのが「500 テスタロッサ(=TR)」。1984年に12気筒ミッドシップとして復活するこのテスタロッサの名は、搭載される2リッターの直列4気筒のシリンダーヘッドが赤く塗装されていたため。あえて日本語に訳せば、「赤い頭」というのがその意味になります。1957年にはレギュレーションの変化に合わせて500 TRCへと進化し、これがフェラーリ最後の直4搭載モデルとなっています。