残価設定ローンの拡大がオススメグレードを変化させた
先日、別件でお客として某トヨタ系ディーラーを訪れ、新型アクアについて話を聞いていた時に、スタッフマニュアルを見せてもらいながら、グレード選びについての話となった。セールススタッフはベーシックグレードからB、X、G、Zと4つあるグレードのうち、GかZが一般的なお客にはお薦めグレードであると言ってきた。
そこで「Zでは個人的には装備過多にも見えるので、GにZには標準装備となる装備から必要な物だけオプション選択するのはどうか」と告げると、「お支払いは?」と聞いてきたので、「残価設定ローンを使うつもり」と返答すると、「オプションの選択数が多くなるようでしたら、Zのほうがお得ですよ。残価設定ローンでの残価相当額の算出は車両本体価格ベースなので、オプション分は考慮されませんので」と説明してくれた。
しかも、この流れはトヨタ車では全般的な傾向になっているとのこと。大人気のアルファードでは、2.5リッターガソリンエンジンを搭載するSCパッケージが売れ筋となっているが、これはエグゼクティブラウンジや3.5リッターV6ではリセールバリューがアルファードとはいえあまり期待できないので購入候補からはずれ、2.5リッターながら3.5リッターV6を搭載するSCと装備内容が同じとなるSCパッケージが選ばれるという。「リセールバリューの良い、2.5リッターの最上級グレード」ということも要因としては大きいようだ。
確かに、トヨタ以外でも新車販売の傾向を見ていると、最近は最上級グレードがメーカーの予測を裏切る形でよく選ばれているケースが多い。コロナ禍となり、”プチ贅沢”という消費トレンドもクロースアップされ、行動自粛が要請されるなかでも、数少ない”高額な買い物”となる新車販売が活況を呈することとなった。
そして、さらに残価設定ローンの普及が新車購入において上級グレードが選ばれる要因のひとつとなっていたのである。
最近はメーカーを問わず、昔ほど極端なグレード間での装備差というのもなくなってきているので(モノ[単一]グレードに近いモデルも多い)、そもそも、そのなかで”買い得グレードはどれだ”は成立しにくくなってきたのだが、消費者側でもグレード選択のトレンドというものが変化を見せてきているのである。