パカッとライトが現れる仕組みにぞっこんだったあの頃
「夏が来れば思い出す~」という歌ではないが、1970年代後半から2000年代の初頭まで、「リトラクタブルヘッドライト」がスーパーカーやスポーツカーの象徴だった時代があった。
なぜこの頃、リトラクタブルヘッドライト、略してリトラが流行ったかというと、歩行者の安全保護の観点からヘッドライトの最低地上高の規制があり、とくにアメリカでは定型角灯もしくは定型丸灯のライトの使用が義務づけられていて、これらの条件をクリアしつつ、スポーツカーらしい低いノーズの「ウェッジシェイプ」を実現するにデザイナーが頭をひねって生み出したのが、普段はライトを格納し、必要時のみ持ち上げる隠しライト=リトラだったから。
スーパーカーでいえば、ランボルギーニ・カウンタックも、フェラーリ512BBも308も、ランチア・ストラトスもリトラだったし、国産車でも歴代RX-7やユーノス・ロードスター、トヨタでは2000GTを筆頭に、セリカシリーズやAE86トレノ、MR-2など多くのクルマにリトラを採用。日産の180SXやホンダのアコード、プレリュード、インテグラ、CR-X、NSX、三菱のGTO、スバルのアルシオーネ、いすゞのピアッツァなどもリトラだった。