ラゲッジは広さだけでなく段差にも注目!
たとえば、ラゲッジルームの使い勝手である。たしかに、後輪を駆動しないFFのほうが、ラゲッジフロアを低くすることができ、ラゲッジルームの容量が、4駆より2駆のほうがわずかとはいえ、増えているケースが一般的だ。しかし、実際の使い勝手面では、ラゲッジルームの開口部に大きな段差がないほうが、重い荷物の出し入れ、あるいは大型犬などのペットの乗降(足を引っかけない)で有利なことは明白。
この点についても、じつは2駆より4駆のほうが、うれしかったりする。そう、先代ヴェゼルを例に挙げれば、FFは開口部に約50mmの段差があり、敷居からフロアが一段下がっている。が、AWDモデルは駆動方式によってラゲッジフロアがいくぶん上がっているため、開口部の段差はなく(掃き出しフロア)、スーツケースやゴルフバッグなどの重量物も、スルスルと出し入れできるから使い勝手がいい(腰にもいいし、掃除もしやすい!?)。
トヨタ・プリウスにしても、FFでは約100mm!! もの段差があるのに対して4WDモデルは、フロアが上がっているぶん、約45mmにまで段差が減少。ラゲッジルームの容量はやや減少するものの、段差がほぼないに等しく使えるのである(先代プリウスのラゲッジスペース開口部に段差はなかった……)。
そうそう、悪路、オフロードでの走破性は別にして、オンロードでは4駆より2駆のほうが軽快に走る、曲がりやすい……というイメージも、正確ではない。トヨタRAV4を例に挙げれば、トヨタ最新のGA-Kプラットフォームのよさもさることながら、もっとも硬派なモデルと言える、
最近では「オフロードパッケージ」なる特別仕様車もある、2リッターガソリンエンジン、4WD限定のアドベンチャーグレードには、新型RAV4のために開発された「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」が採用されている。後輪左右のトルクを別々に制御(0~100)するトルクベクタリングコントロールと、4WDを必要としない場面で後輪への動力伝達を切り離し、燃費を向上させるディスコネクト機構を備えた4WDシステムで、悪路、オフロードでの走破性のすごさはもちろん、オンロードでもじつに曲がりやすく、痛快に走れるように仕立てられているのだからびっくりだ。
具体的に説明すれば、山道などのオンロードのカーブで驚かされるのは、後輪左右のトルクを別々に制御する「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」の威力で(とくにスポーツモードで顕著)、たとえば左カーブなら、右後輪側から曲りを積極的にアシスト。ステアリングを切った方向に、吸い込まれるようにグイグイと曲がってくれるのだ。しかも車体の姿勢変化は最小限。本格SUVに乗っていることをすっかり忘れさせてくれるほど走りは上質で、運転する楽しささえ満点の、オンオフ二刀流の、走破性だけじゃない”できる”4WDなのである。
というように、4駆、AWD、4WDだからこそ、乗り心地や使い勝手、オンロードでの走行面などでメリットありのクルマも、今は少なくないのである。ただし、すべてのクルマの2駆と4駆がそうした関係にあるわけではないので、あしからず。