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ポルシェが生んだ伝説の「怪物」! 「959」の正体とは (1/2ページ)

ポルシェが生んだ伝説の「怪物」! 「959」の正体とは

この記事をまとめると

■ポルシェ959は1986年に登場したモデル

■生産台数は292台とされている(283台とする記録もある)

■このクルマの歴史、また筆者が初めて運転した時の印象について解説する

事実上制限なしのグループBのホモロゲが「怪物」を誕生させた

 今回は、ポルシェが1986年から1989年まで292台を生産したとされる(283台とする記録もある)、「959」について解説することにしよう。959プロジェクトのスタートは、連続する12か月間に200台の生産を必要とするグループBの公認を得ること。1982年FIAは、それまでのグループ4/5に代わるグループB車両に、世界ラリー選手権=WRCのチャンピオンシップを与えることを決定。パワーは無制限、軽量素材の使用にも事実上何の制限もなかった。ポルシェのエンジニアがこの新しいカテゴリーに興味を持たないわけはないだろう。

 唯一の、というよりも決定的な問題だったのは、ベース車として選択できるのが、リヤエンジンの911のみだったという事情にあった。すでにアウディ・クワトロによって成功が証明されていたとおり、当時のWRCではAWDこそがそれを制覇する条件ともなっていた。

 当時チーフエンジニアだったヘルムート・ボットのもとで、1983年1月にスタートした959プロジェクト。それがその名も「グルッペB」のネーミングを掲げ、ワールドプレミアされたのは1983年のフランクフルト・ショーでのことで、AWD機構の搭載はもちろんのこと、一気にその性能を高めたエアロダイナミクスもまた大きな話題となった。それはスムースでかつ美しく、視覚で速さを印象づけるデザインにほかならなかったのだ。

 959が、正式に959の車名を掲げてモータースポーツの舞台に登場するのは、1986年のパリ・ダカール・ラリーからのことだった。前後して市販へと移された959は、一見911のチューニングモデルのようにも見えるが、その中身はまさにハイテクの塊だ。リヤに搭載されるエンジンはオールアルミニウム製の2898cc水平対向6気筒DOHC。空冷式のブロックと水冷式のヘッドを組み合わせ、さらにKKK製のターボチャージャーを組み合わせ得る。

 ミッションはG=スーパーローを備える6速ATで、前輪に伝達するトルクを可変するためのトルクを増減するためのPSK=ポルシェ電子制御クラッチが装備されている。ちなみに通常時のトルク配分は40:60。急加速時などには20:80までこの比率が変化する。

 エンジンの最高出力は456馬力。ターボチャージャーは、エンジンスピードが4000rpmに達するとツインターボの状態となり、最高速の317km/hを目指す。サスペンションにはハイドロニューマチック機構が組み合わされ、車高を最高で180mmまでアップすることができるし、またダンパーの硬さも好みによって3段階に設定できる。

 ……と、冷静にポルシェ959の成り立ちやスペックを頭のなかで復習することができたのは、ここまでだった。筆者自身は新車時に、この959には試乗しているのだが、それから残念ながら次なるチャンスには恵まれていなかった。

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