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ハンドルは「丸いもの」は過去の話! 最近上や下が「平ら」なハンドルが増えているワケ (2/2ページ)

ハンドルは「丸いもの」は過去の話! 最近上や下が「平ら」なハンドルが増えているワケ

この記事をまとめると

■かつてクルマのハンドルには基本的に真円形のものが採用されてきた

■しかし今、上や下が平らな、非真円形のハンドルが増えている

■ハンドルの役割を再確認しながら、その理由について解説する

ステアリングの形状もじつは進化していた!

 ステアリングホイールの形が気になった方はいないだろうか? 歴史的にステアリングホイールの形は真円形、と相場は決まっていた。ステアリングホイールは、回転させることで前輪の向きを変えるデバイスで、旋回のためステアリングを回した際にどの位置を握っても同じ操作性、保舵性であることを重視した結果、真円形が採用され続けてきた。

 しかし、最近は中立時に下側、車種によっては上下を平らな形状とした非真円形のステアリングも見かけるようになってきた。なぜこうした形状のものが生まれてきたのか、ステアリングホイールの役割を再確認しながら考えてみることにしよう。

 まず、もともとステアリングホイールは真円で作られていた。と言うより、真円以外の形状は考えられなかった、というのが実際のところである。回転運動をするもの、たとえば車輪(タイヤ&ホイール)が真円でなければ都合が悪いことは、誰にでもわかることだろう。ステアリングホイールが真円で作られたのも、自然の発想によるものである。

 さて、自動車は発達とともに、車重の増加、タイヤ幅の広がりといった進化を遂げてきた。これに合わせ。当然ながらステアリングを回す力(操舵力)もどんどん増えていくことになる。自動車が一般を相手にした商品である以上、運転者は老若男女、免許証を所持するすべての人間が運転できなくては具合が悪いことは言うまでもない。このため、操舵力軽減のため、ステアリングホイール径の拡大、減速比の大きなステアリングギヤボックスの採用などが行われてきたが、これにも自ずと限界値があったのだ。操舵力を軽くするため、あまりに径の大きなステアリングホイールや、いくら回しても向きが変わらない大きな減速比のギヤボックスは、現実的でないからだ。

 そこで考えられたのが、ステアリングのパワーアシスト機構だ。エンジンを動力源とする油圧ポンプにより、ステアリング操舵力を油圧が補助するシステムで、いわゆるパワーステアリングと呼ばれる機構の実用化である。ステアリング系は、パワーアシストを備えたことで、操作性に優れた小径ステアリングホイール、応答性のよい小さな減速比のステアリングギヤボックスが使えるようになったわけである。

 なお、中立付近は重い保舵力の小さな減速比、大きく切り込むと軽い保舵力の大きな減速比に変わる可変レシオ(バリアブルレシオ)のステアリングギヤボックスは、パワーステアリングが一般に普及する以前の時代に考え出されたシステムである。

 パワーアシスト機構の普及、さらに進化によって、ステアリングホイールの考え方は、操作性のみから他の要素も加味した視点に変わっていくことになる。ステアリングホイールには、ドライバー視界を妨げるという要素があったからだ。これは着座位置やドライバーの体格によってかなり異なってくる部分だが、前方視界、あるいはメーターの視認性においてステアリングホイール円周の一部が視野を妨げる例、場合によっては、ステアリングホイール下部がドライバーの腹部や上肢と干渉し操作性を損なう例も生じていた。

 こうした不具合に対処する目的で、ステアリング上部あるいは下部、またはその両方を真円形状ではなく直線形状とすることで、前方視野やメーター視認性、ステアリング操作性を改善する対策が考え出されることになったわけである。

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