ついにヤリスカップ始動! 91台エントリーの超人気レースにプレジデントが自ら参戦した (3/3ページ)

速く走るためにはタイヤの使い方が鍵

神谷:ミッドレスからヤリスカップに参戦するお客さんがたくさんいるんですね。後輩のドライバーも居るんですけど、初めてのヤリスをゼロから開発していくにはまだ経験が足りなくて。それでボクがセットアップやブレーキや空気圧などの基本的なデータを作って、お客様に提供しています。

新郷:あれだけたくさんのお客様がいらっしゃって、ミッドレスって凄いお店だな、って改めて思いました。レースが好きなお客様がたくさん集まってくるんですね。

神谷:お客様に恵まれている部分もあって、みんな仲もいいし、練習に行く時もみんなで連絡とりあったりしています。

新郷:トップドライバーの感じていることを直接聞かせてもらえるのは大変参考になります。ヤリスカップで速く走るためには、何が必要ですか?

神谷:速く走ろうとすると、タイヤをいかに使うかということに尽きるんですね。タイヤ以上のことはできないので。最初は、自分より少し速い人について行くことだと思います。富士スピードウェイのような国際サーキットはコースも広いし、どこを走ればいいのか判らないと思うんです。目線も近すぎると思うので、前のクルマを追っかけていれば自然と遠くを見ることができますね。ドライビングポジションをしっかり決めて、目線をできるだけ遠くに、というのを意識して、前のクルマに着いていくというのがいいと思いますね。

新郷:競技はしたことはないですけど、社内で運転訓練はときどきやっているんですね。その時に86だったりすると限界も高いので、それなりにやれてる気はするんだけど、ヤリスの細いタイヤだとそのなかでやらないといけなくて、アンダーステアが出てアンダーのままで走ってしまうこともあるんです。基本に帰らないとダメだと思わせてくれますよね。

 短い時間の対談は、あっという間に終わってしまった。最後に新郷さんに、今回のヤリスカップ参戦を含めて、まとめてもらった。

「ヤリスはコンパクトカーなので、みなさんに安く便利に使ってもらえるのが大切である一方、トヨタのモータースポーツのエントリーでもあります。普段使いとこうしたレースのような過酷な状況で使われる。それを両立させていきたいな、と思います。

 今回サーキットに来てレースを体験したことで、私に上げられてくるリポートを読むだけとはまったく印象が違う。実際に自分の目で見たことで、リアルな体験として今後に反映させていけると思います。

 ヤリスが日本のモータースポーツの入り口になっていると思いますので、今後もより多くの皆さんが安全に安価にモータースポーツを楽しめるように、進化させていきたいですね。

 じつはもう、いいアイディアをひとつふたつ思いついているんです。もっといいクルマ、楽しいクルマになりそうですし、お客様以上に自分が一番ワクワクしているのかもしれません。早くお客様にお届けしたいからです! ボク自身も開発者としてだけではなく、ひとりのユーザーとして、ひとりの参加者として、進化に期待したい部分もありますね」

 ミイラ取りがミイラになる? ヤリスカップがまたひとり、モータースポーツフリークを作ってしまったようだ。

※トヨタのカンパニー制度

 トヨタ自動車は2016年4月から、社内に7つのカンパニーを設けて、製品群ごとに商品計画や製品開発を行っている。それぞれのカンパニーが独立した会社であるかのように意思決定することが可能で、素早い決済やコスト管理など、効率的な経営・運営を目的としている。コンパクトカーカンパニーはそのひとつで、トヨタでもっとも小さいヤリスやアクア、ジャパンタクシーなどのBセグメントと、カローラ、プリウス、C-HRなどのCセグメントを担当している。


新着情報