近年はかなり”意欲的な価格設定”をするケースが増えてきた
だが、ドイツ車やフランス車の主要ブランドの場合、近年はかなり”意欲的な価格設定”をするケースが増えてきた印象がある。日本法人サイドが本国に対して、積極的な拡販戦略を提案し、その上で日本法人サイドが日本国内販売店各社との連携を強化することで、まずはリセールバリュー(再販価格)を上げてユーザーの新車購入動機を高める。さらに、新車価格に対するヒドゥンコスト(一見しただけでは分かりにくいさまざまな追加料金)の設定をなくし、適正かつ市場競争力のある新車価格設定を行うようになった。
つまり、日本国内での販売戦略が緻密になればなるほど、量産効果によって新車価格はリーズナブルになっていくのだ。こうした考え方は、日本メーカーが海外での販売価格を決める場合も同様だ。たとえば、トヨタ・プリウスの場合、数年前に現行プリウスの主査と国内試乗会で意見交換した際「アメリカでの現地価格が想像以上にリーズナブルなので驚いた」と言っていた。
最終的な価格設定については、開発担当者が指定するわけではなく、海外事業の担当部署が現地法人と市場動向を踏まえたやり取りのなかで精査され決められる。自動車の価格は、世の中になるさまざまな物事の価格設定と同じく、需要と供給のバランス、さらには企業の事業方針と戦略によって決まるのだ。