最近ではFF独特の挙動やクセは抑えられている
ただ、問題は操舵と駆動を一緒にする点で、まず大きな問題はトルクステアと呼ばれる現象で、ハンドルを切っていないのに切れてしまったり、コーナーの途中でアクセルを踏むと暴れたりなど、不安定な状況になってしまう。これは左右のドライブシャフトの長さが異なるためで、ボンネット内の配置に制限が大きくなるFFの場合、とくにハンデとなる。
これはFFが普及した1980年でも顕著で、トヨタ・スターレットターボなどかなり暴れたし、雨の日の高速道路では横っ飛び的な挙動が出たりもした。ただ、これを抑え込みながら走るのが、楽しくもあったのだが。
構造的にもFF化には課題があって、背景にはあるのはやはり操舵と駆動を同じ軸でするという点で、ステアリングを切るとドライブシャフトのデフ側とハブ側で伝達力に差が出てしまうのが問題だった。
具体的にはハブのところにあるジョイントが問題で、1970年ごろのFFだと一般的なタイプだったので、伝達力に差が出るだけでなく、回転ムラが出たり、耐久性も落ちることから、結果的にフロントのハブまわりにガタが出るなどした。これを解消したのがその名も等速ジョイント(CVJ)と呼ばれるもので、ハンドルを切った状態でも、スムースに駆動力を伝達できるようになり、耐久性も高まった。これにより、問題は解決され、1980年代には低価格化も進んでFFが普及する後押しになった。
現在では紹介したようなFF独自のクセや挙動はかなり抑え込まれていて、採用車種やジャンルは幅広いものになっている。