資源の乏しい国には有用な2次エネルギーが水素だ
燃料電池に使うだけでなく、それ自体を燃焼させて動力を生み出すこともできる水素は、水素社会という言葉まであるように、自動車業界以外でも活用が期待されている。
ではなぜ水素が注目されているのか。それは電気と同じように2次エネルギー、つまり地球上には存在しない代わりに、新たに作り出すことができるからだ。これはとくに、日本のような資源に乏しい国にとってはありがたい。
たとえば石油は、産油国や輸送ルート上の地域で戦争が起こったりすると、供給が止まってしまう恐れがある。でも水素は電気と同じように、いろいろな方法で作ることができる。しかも軽いうえに、電気とは違って運搬もできる。
現状では水素の製造には電気を使うので、日本のように発電の4分の3が火力発電という国ではカーボンニュートラルにはなりにくいが、グリーン電力だけを使えばカーボンニュートラルになる。これをグリーン水素と呼んでいる。
燃料電池自動車は多くの補機を積まねばならないので、生産や廃棄のときの二酸化炭素排出が気になるし、小型車への導入は難しそうだが、先日トヨタがレースで走らせた水素そのものを燃やす方式なら、そういうデメリットは目立たなくなる。
e-fuelの存在も見逃せない。水素と二酸化炭素を化合させて作る合成燃料で、今のエンジンでも使えると言われている。作るときに二酸化炭素を使うので、カーボンニュートラルではさらに有利だ。