この記事をまとめると
■ミニバンは実用面重視で、走りは望めないというイメージも強い
■しかし意外なほど走りが楽しいミニバンも存在
■この記事では6台のモデルを紹介したい
意外と走れちゃう!? ミニバンの底力を魅せるクルマたちを紹介
クルマはやっぱり走りが大事。だからミニバンなんか選ばない……そう感じているクルマ好きの人もいるはずだ。たしかに、ミニバンは背が高く、大きく、重く、重心も高くなりがちだから、走りの面では不利だと思っていても当然だ。
が、しかしである。スポーツカーのような走りは望めなくても、高速道路から山道まで、意外なほど走りが楽しいミニバンも存在することを忘れてはいけない。
1)ホンダ・オデッセイ アブソルート
では、どんなミニバンなら、走りも楽しめるのだろうか。その筆頭は(ご想像どおり)、ホンダ・オデッセイの2代目から存在する、オデッセイ・アブソルートだ。ライバルメーカーのミニバン開発責任者に「ミニバンの皮をかぶったスポーツカーだ」と言わしめたように、歴代のアブソルートは専用サスペンションや大径タイヤなどが奢られ、ホンダらしい走りの楽しさを目いっぱい味わせてくれるのだ。
ついに年内生産中止となってしまったオデッセイは、ガソリン、e:HEVモデルを問わず、骨太でスポーティな乗り味、操縦性の持ち主であり、ズバリ、スポーティミニバンとしてライバルなき存在。山道でさえ地を這うようなフットワークを見せつけ、エンジンも痛快に回る。だから走り好きの人にもぴったりの1台(ミニバンとして)。もしかすると国産ミニバン史上最後のLクラス・スポーティミニバンになるかも知れないから、新車で手に入れるなら決断はお早めに。
なお、初期型の乗り心地はスポーティすぎるほど硬かったものだが、最新モデルは上質さある重厚な乗り味に進化している。
2)三菱デリカD:5
意外なる、走りが楽しいミニバンとして挙げられるのが、三菱デリカD:5だ。ただし、2019年に、12年ぶりに行われたビッグマイナーチェンジ以降のモデルである。
それまではまさにミニバンの皮をかぶった本格SUVというキャラクターで、走破性は極めて優れるものの、走りが楽しいミニバンとは言えなかったと思う。が、ビッグマイナーチェンジモデルは別物。走りに関してはフルモデルチェンジと言っていいほどで、クリーンディーゼルエンジンはトルキーかつスムースに回り、それこそ試乗した箱根の山道ではパワーステアリングが劇的に軽く扱いやすくなり、とにかくサイズや車重を感じさせない軽快感ある乗り味に大変身。
そして、アクセルと新パワーステアリングのレスポンスの向上も走りやすさに大きく貢献していて、箱根のタイトなコーナーの連続でも安定感・安心感たっぷりにスイスイ駆け抜けられるほどなのだ。乗り心地はリヤダンパーのサイズアップもあり、荒れた路面や段差を見事にいなし、高級SUVも真っ青な、フラットな快適感がもたらされているのだから、びっくりである(とくに2列目席)。そして車内の静粛性も劇的に向上。ディーゼルエンジン特有のこもり音こそ認められるものの、あくまで先代と比べれば、ずいぶん静かで洗練された走行空間になった印象なのである。
オデッセイ・アブソルートのようなスポーティ性能こそ望めないものの、オン/オフを問わない、走りの満足度が極めて高いオールロードミニバンに仕上がっている。