この3色は国際規格として決められている
普段はなにも考えずに接していたり、見ていたりするものでも、よく考えると理由がわからないものは結構ある。クルマ関係でも同様だ。そのなかで超が付くほどの素朴なものとして、信号の色というのは、どうして? と聞かれるとその理由を即座に答えられる人はほとんどいないかもしれない。
当たり前だが、信号の色は赤・黄・青の3つが使われる。歩行者用は黄色の代わりに点滅となるが、別の色が使われるわけではない。3色については国際照明委員会(CIE)によって国際規格として決められているもので、意味も世界中で同じだ。
では、なぜ3色が選ばれたのかというと、これについては正確な理由はわかっていないが、世界で初めての信号とされる1918年に設置されたニューヨークの5番街の信号がすでに赤・黄・青となっていた。赤と青は直感的に危険と安全が判断できるからというのはなんとなく想像がつくし、黄色についてもその中間的な印象は自然に受ける。荒天時の視認性も黄色はいい。
並びについては右から赤・黄・青で、道路の中央側に赤がくるようになっているのは、危険性をアピールするからというのが理由だ。ただ、実際は緑なのを青と呼ぶのは正確な理由は不明で、緑より青のほうが呼びやすいからなどいくつかの説がある。
日本では大正から昭和初期にかけては手信号での交通整理が行われていて、昭和5年(1930年)にはアメリカ製の信号が日本で初めて東京の日比谷に設置されている。ただ、色に合わせてどう動けばいいのかわからない人がほとんどだったので、結局は警察官が手信号で整理に当たっていたのは今からすれば笑い話だ。
その半年後には国産の信号機が京都に設置され、全国に広まっていった。驚くのは10年後には、押しボタン式信号や複数の信号を総合的に制御していたことで、意外に進化は早かったと言っていいだろう。
戦後になっても、昭和38年(1963年)には現在もある感応式の信号が登場したり、昭和41年(1966年)には電子計算機を使った広域制御を実施。また昭和46年(1971年)には現在のような交通管制センターが運用を開始している。