長年のファンを裏切らないエクステリアと革新的なインテリア
45年の歴史をつむぎ、最新型で8代目となるゴルフは、これまで3500万台が世界の家庭のガレージに収まってきた。計算すると、21秒に1台のテンポでゴルフが売られていくというから、それはもう世界の国民車といっていい。
初代は典型的な2ポックスハッチバックスタイルでデビュー、その使い勝手の良さと、優れたスペース効率と、そしてFFの安定した走り味が高く評価され、爆発的なヒット作となった。そのコンセプトは、45年後の今になってもまったく変わることはなく、8代目にも引き継がれている。
特徴的なL字形Cピラー、そこからフロントに貫く一直線のキャラクターライン。すべてはゴルフのアイデンティティである。新型になっても3サイズは先代モデルとほとんど違いはない。45年を遡れば肥大化してきたとはいえ、衝突安全といった時代の要請に対応してきたからにすぎない。いまでもガレージにちょうどぴったりの、家庭的サイズでいてくれているのだ。
何かを隠すような不自然な凹凸はなく、奇をてらった曲線もない。エクステリアはシンプルに、贅肉を削ぎ落としてデザインされている。それでいて、四方八方どこからみてもゴルフそのものなのだから、デザインの力は驚くばかり。徹底したキープコンセプトはエスクテリアデザインにも及んでいるのである。
ただ、インテリアに目を映すと、驚きが広がる。無闇に捻った造形ではなく、水平基調のスッキリしたデザインである点はエクステリアと同様だが、本来あるはずのラジオのスイッチや空調のレバーが見当たらない。そう、新型ゴルフはきわめて現代的な流儀により、操作系のほとんどをモニターに格納し、スライダーに移管しているのだ。
たとえば車内の温度調整は、モニター下のスライダースイッチに触れた1本の指を右にスライドさせれば設定温度が高くなり、左へのスライドで低くなる。その指を2本に増やせばシートヒーターになるといった具合だ。まるでマジシャンになったような感覚だが、それこそが現代的だ。
モニターの階層を巡る必要があり、ブラインドタッチもできないことは、昭和世代には少々慣れが必要だが、スマホ世代には親和性がある。外観は伝統に習っていながら、操作系は先進的なのである。