より小型な車両の登場で”コンパクト”はEクラスになった
1982年に誕生した190Eは、それまでのメルセデス・ベンツの車種構成からさらに小型な乗用車として登場した。これが、93年のフルモデルチェンジによって、Cクラスとなる。190Eと呼ばれたように、当時はまだEは燃料噴射を指していた。
それまでコンパクトに位置づけられていた車種が、Cクラスの登場によってSとCの中間的なミディアム車格となり、95年からEクラスと呼ばれるようになる。
1997年になると、さらに小型でハッチバック車のAクラスが誕生し、フォルクスワーゲンのゴルフなどと競合するようになる。190やCクラスの誕生でもメルセデス・ベンツにとっての新たな時代を思わせたが、さらにハッチバック車の登場で、フルラインメーカーへの意思を明らかにしたといえる。ただし、初代~2代目までのAクラスは、電気自動車や燃料電池車への発展を視野に、床下を二重構造とし、そこにリチウムイオンバッテリーや燃料電池スタックを車載する構想である点に独自性があった。
このAクラスを基に、ワゴン的な要素を加えたのがBクラスだ。Bクラスも、当初は二重の床構造を持っていた。
こうして、A、B、C、E、Sの車種構成ができあがる。そしてDは今日もディーゼル車としての印として使われている。また燃料噴射は、あえてEといわなくても、今日のエンジンはすべて燃料噴射方式なので表す意味がなくなった。
では、Fはどうか。Fは、1991年の米国デトロイトショーで公開されたF100のように、次世代のコンセプトカーの車名に利用されてきた経緯がある。その後も、F200、F300、F400というように、時代を切り拓く構想がコンセプトとして展開されてきた。
Gは、もともとゲレンデヴァーゲン(ドイツ語でオフロードカー)と呼ばれてきたため、その頭文字をクラス名に改められた。またかつてはMクラスもあり、こちらは4輪駆動車ではあるが、Gクラスほど未舗装路専用という本格派ではなく、SUV(スポーツ多目的車)として車種追加されたときに利用された。
Vクラスは、ミニバンだ。ヴァーサティリティという多用途性の意味が込められている。
SLは、ライトウェイト・スポーツの意味だ。
最新のEQは、未来を拓くクルマを意味する。単に電気自動車というだけでなく、電動を基本としたエレクトリック・インテリジェンスの意味を込めている。