これぞニッポン技術の底力! 世界を青ざめさせた国産スポーツモデル4台 (2/2ページ)

日本の4WD技術は世界でもっとも進んでいる

3)トルクベクタリングの先駆者「三菱ランサーエボリューション」

スポーツカーといえば流麗なクーペボディという時代を変えたのは、WRC(世界ラリー選手権)がグループAレギュレーションで戦われてた時期だろう。ランチア・デルタやスバル・インプレッサWRXといったクルマは、WRCでの活躍からブランド価値を高めていった。そのなかで、ラリーで結果を残しただけでなく、世界のクルマに影響を与えたのが三菱ランサーエボリューションだ。とくにランサーエボリューションIV(1996年)以降のモデルに装着された「AYC(アクティブヨーコントロール)」は、後輪の左右トルク差によってハンドリングに貢献しようというもので、まさにパワーで曲げる最初のクルマとなった。そのテクノロジーはWRCというステージがあったからこそ鍛え上げられてきたものだった。

そしてAYCの開発において三菱自動車のエンジニアが使っていたのが「トルクベクタリング」という言葉。トルクスプリットはトルク配分と訳されるが、同様にトルクベクタリングを日本語にすれば「トルク移動」といったところだろうか。100のトルクを左右に分配するのではなく、左から右へとトルクを移すことができるシステムは、いまだ世界のトップレベルにある。

実際、ランサーエボリューションにAYCが採用された数年後から「トルクベクタリング」という言葉を使うメーカーは増えたが、真の意味でトルク移動が出来ているかといえば疑問もある。三菱がラリーに出なくなって久しいが、その駆動トルクコントロール技術は、いまだ世界をリードする存在だ。

4)天候を選ばないマルチパフォーマンススーパーカー「日産GT-R」

ハイテクによるパフォーマンスと日本車に期待される日常性を両立したことで、世界のスーパースポーツ界に新しい提案をしたのが、2005年に誕生した日産GT-Rだ。

当初、大きく謳われたコンセプトは「マルチパフォーマンススーパーカー」。4WDを前提としたV6ツインターボエンジン、トランスアクスルの6速DCT、カーボンプロペラシャフトといったメカニズムの構成要素もそうだが、雨天や雪道でもハイパフォーマンスを発揮できるスーパースポーツというコンセプトは世界のトレンドを変えていった。

いまやスーパースポーツにおいて4WDであることは当然で、むしろハイパワーになるほどRWDを採用することは珍しいが、そうしたトレンドはGT-Rの存在があってこそ、ここまで広まったといえるだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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