走行性能もアップグレード! タイプRやe:HEVモデルも準備中!?
そして、先代の時点で非常に完成度が高かった走りに関しては、多くのメカニズムが先代からキャリーオーバーされているが、その中身は少なからず進化している。
エンジンは引き続き1.5リッターの直列4気筒直噴ターボが採用され、CVTのみならず6速MTも継続設定されるのだが、エンジンの最高出力・最大トルクはCVT車・6速MT車とも共通スペックの182馬力/6000rpm&240N・m/1700-4500rpmに。
CVT車は20N・mアップ、6速MT車は先代と変わらないが、その発生回転数は最高出力が高く、最大トルクは低くなっている。タービンの変更や過給配管の圧力損失低減などによって、低回転域での扱いやすさとレブリミット付近の伸びがともに改善されているようだ。
CVTには減速時および全開加速時のステップダウンシフト制御に加え、センターコンソール上のスイッチで「ECON」「Normal」「SPORT」の3種類から切り替えられるドライブモードを新たに採用。6速MTはストロークがシフト方向に5mm、セレクト方向に3mm短縮され、先代「タイプR」に勝るとも劣らない短くソリッドなシフトフィールに仕上がっているので見逃せない。
プラットフォームも先代のものが継続採用されており、フロント・ストラット式、リヤ・マルチリンク式のサスペンションも形式そのものは変わらない。だがホイールベース35mm、リヤトレッド12mm拡大によって安定性を向上させたほか、ベアリングやジョイント、ダンパーなどのフリクションを低減。ブッシュの材質変更や容量拡大、EPS制御の分解能向上など、細部にわたり改良が施されている。
ボディも構造用接着剤の使用範囲を現行モデルの9.5倍へと大幅に広げ、リヤホイールアーチに補強材を追加するなど主要骨格の剛性を高めることで、ねじり剛性を19%アップ。さらに、1500MPa級超高張力鋼板の適用部位を13%にまで拡大し、エンジンフードをアルミ製、バックドアをGFRP製とすることで、最新の安全基準に適合させつつ軽量化にも配慮した。
そして、先代の数少ない弱点だった静粛性に関しては、各部の剛性アップに加え、ダッシュボードおよびフロア周辺を中心として吸音材・遮音材・制振材の適用範囲を大幅に拡大。中空構造の消音材を貼り付けたノイズリデューシングホイールも採用することで、とくにロードノイズとパワートレインからのノイズを低減しているという。
ADAS(先進運転支援システム)「ホンダセンシング」に関しては、フィットおよびヴェゼルと同様の、視野角を拡大したフロント単眼カメラと前後4個ずつのソナー、リヤバンパー両端のミリ波レーダーで構成される最新のものにアップデート。踏み間違い衝突軽減システムやトラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、ブラインドスポットインフォメーション、パーキングセンサーシステム、後退出庫サポートが新たに実装されたほか、渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)やLKAS(車線維持支援システム)も性能向上が図られている。
さらに、LEDヘッドライトが全車に装着されたうえ、「LX」にはオートハイビーム、「EX」にはホンダ初のアダプティブドライビングビームが標準装備される。
このアダプティブドライビングビームは、10〜30km/hの低速域および街灯が多い市街地を10km/h以上で走行する際、ロービームのハイビームの中間に位置するミドルビームに光の高さを制御。対向車や先行車のみならず歩行者の眩惑も防ぎながら、自車の暗所での視界を拡大するという優れものだ。
内外装のみならず走りや安全性能も大幅に進化した新型11代目シビックハッチバック、その国内デビューは2021年秋。そしてハイブリッド車の「e:HEV」、そしてホットバージョンの「タイプR」も2022年に追加予定となっている。先代シビックハッチバックは300万円を切る価格に抑えられながら、高い走りの質感を備えていただけに、新型も若者の手に届きやすくコストパフォーマンスの高いシビック=「市民の」クルマとなることを願わずにはいられない!