事故を起こした場合は保険が必ずしも支払われるわけではない
速度無制限区間で高速走行中に事故を起こしてしまった場合、速度違反について問われることはないが、自動車保険が支払われるとは限らない点も知っておく必要がある。ドライバーに過失がない事故の場合は問題ないが、裁判所で「ドライバーの運転能力とクルマの性能を見誤った運転が原因」と判断された場合には、保険会社が支払いを拒否する可能性があるのだ。また安全運転義務違反として、年収相当の数万ユーロもの罰金が課せられる場合もある。超高速走行はあくまでも自己責任であることを忘れてはいけない。
ドイツ人には、「ルールは守るもの」という意識が強いので、速度無制限区間から速度制限区間に入るときには、F1マシンのピットインのように、規制区間に入る手前ギリギリで減速する。その一方でドイツのドライバーは、速度規制区間でも制限速度を必ずしも守らない。130km/hに規制されている区間では150km/h弱、つまり「制限速度+20km/h弱」で走行するドライバーが大半だ。
その理由は、アウトバーン上では20km/h未満の速度超過の罰金が30ユーロ(約4000円)と安く、点数も加算されないから。今秋には値上げが予定されているが、26km/h以上の速度超過(罰金80ユーロ:約1万500円)をしない限り免許停止にもならないので、このような状況になっている。アウトバーン上では覆面パトカーも取り締まりを行っているが数は少なく、自動速度取締装置(いわゆるオービス)も一般道上よりはるかに少ないので、多くのドライバーが「制限速度+20km/h弱」で走行しているのである。
「自動車を発明した国」であるドイツにとって、アウトバーンは誇りであり、ドイツ国民の移動の自由を象徴するものである。ドイツでアウトバーンを走行する際には、くれぐれも周りのクルマの振る舞いに注意して、飛ばしすぎないようご注意ください。