存在感溢れる「オラオラ顔」がユーザーの心を鷲掴み
そして近世たる2010年代になると、今現在まで続く「オラオラ顔」のムーブメントが勃発しはじめる。「ド迫力のいかついオラオラ顔」こそがイケメンであるという解釈が――クルマ好きの各位は認めたくないだろうが――一般家庭の間では醸成されていったのだ。
きっかけは、2010年代を間近に控えた2008年5月に登場した初代トヨタ・ヴェルファイアだろう。
ヴェルファイアの姉妹車であるトヨタ・アルファードのほうはさほどのオラオラ顔ではなかったが、2代目アルファードと同時に誕生した初代ヴェルファイアは、ビッグなフロントグリルとド派手な二段構造のヘッドライトで、人々のヤンキーマインドを刺激。その結果として大ヒット作になった。
そして2015年に登場した3代目トヨタ・アルファードの銀歯のようなオラオラグリルが、お茶の間から高く評価されたことが(より正確には、2017年のマイナーチェンジ後のデザインが大人気となったことが)、近年の「オラオラ顔こそが正義」というトレンドを決定づけたといえる。
2021年後半以降の「クルマのイケメントレンド」がどうなるのかは、わからない。このままオラオラ路線が続くような気もするが、新型ヴェゼルや日産ノート オーラなど最新モデルの“顔”を見ると、若干ながら「洗練」という方向にシフトしているような気もしないではない。
だが、いずれにせよ、メジャーなトレンドを決めるのは自動車メディア人である筆者ではないし、これをお読みのカーマニア各位でもない。なんだかよくわからない「空気」のようなものが、いつだってそれを決めるのだ。カーマニアの知らないところで。
ところでファッション界の「今年のトレンドカラーは紫色!」みたいなのって、いったい誰が決めてるんでしょうね?