クルマ好き憧れの「GT」や「R」! 「走り系の証」じゃないクルマにも結構あった (2/2ページ)

探すと意外にも多い身近な「R」や「GT」たち

さて「R」というアルファベットからは「レーシング」という単語を連想するが、まったく違う意味で使ったのが、スズキが大ヒットさせた元祖ハイトワゴンの「ワゴンR」。車名の由来は「セダンもあるけど、ワゴンもあーる」というダジャレに由来するというのは有名な話だ。

そんなスズキの軽自動車として2000年代にサーキットでよく見かけたのがKeiスポーツだ。もともとはクロスオーバーSUV的キャラクターだったが、スポーツハッチとしてのキャラクターが評価され、ワンメイクレースも開催された。そのために生まれたのが「KeiスポーツR」というグレードだった。(右:KeiスポーツR/左:Keiスポーツ)

こちらは由緒正しいレーシングの意味でのRというアルファベットがついていたモデルだが、軽自動車には最高出力の自主規制があるためエンジン自体が変わるわけではなく、レースカーとして仕上げやすいベース車として生まれている。そのため、防振・防音用メルシート/ステレオ/スピーカー/パワーウインドウなど競技上不要な装備が取り除かれている。車体軽量化という点では評価すべきだが、街乗り用として買ってしまうと後悔しかない仕様だったのだ。

最後に現行モデルで「名ばかりのGT」にあたりそうなモデルを探してみよう。

かつてのスカイラインと同様にベースグレードにGTと名付けているといって思いつくのがスバル・レヴォーグだ。同モデルにおいてGTはベーシックグレードであって、装備が充実したのがGT-H、スポーティな仕上げとなっているグレードの名前はSTI Sportであるのはご存じのとおり。

とはいえ、現行レヴォーグについていえばエンジンは全車1.8リッターターボで共通で、サスペンションや内装の仕上がりでグレード間の違いはあれど、加速性能などのパフォーマンスについて差はないわけだからGTとつけていても違和感はない。

さらに言えば、スバルにおけるGTというのは、瞬発力ではなく長い時間乗っていられる、まさにグランドツーリング性能を示すアルファベットでもある。GTグレードであっても先進運転支援システム「アイサイト」が標準装備になっているのだから、じつは名ばかりのGTではなく、全グレードが高いGT性能を持っていることの証でもあるのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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