二酸化炭素排出ゼロへの最適解が自動車のEV化だ
化石燃料(石油)を燃焼させて動力を得る内燃機関では、二酸化炭素の排出は避けられず、二酸化炭素の排出そのものをゼロにしようとするなら、化石燃料を使う内燃機関からパワープラントの転換を図らなければならない。こうした流れの中で必然の帰結のように浮上した新パワープラントが、電気モーター、すなわち自動車のEV化だった。
電気モーターなら排出ガスそのものが発生しない文字どおりの無公害車。こうした環境問題に基づく近代EVの実用化は、1996年のGMのEV1がその発端と見てよく、本格化するきっかけを作ったのは2011年登場のテスラ・ロードスターだった。
こうした流れのなかで、地球温暖化防止が世界共通認識となったのは2015年のパリ協定以降で、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)によっての合意事項がその基本となっている。ヨーロッパの各自動車メーカーが、2030年前後に内燃機関のみの車両開発、販売を打ち切ることを相次いで発表すると、イギリスのように2030年以降は内燃機関のみの新車販売を禁止する政策を打ち出す国も現れてきた。
日本も今年1月の通常国会で菅首相が、2035年までに新車販売で電動車100%を実現する、と表明。この電動車とは、HV、PHV、EV、FCV(燃料電池車)のことを指し、小型バッテリーとモーターによるマイルドHVは除外される見通しだ。EVが抱える問題点は軽量コンパクトで高出力、大容量のモーターやバッテリーの開発、充電ステーションの普及、設備のない個所での電欠にどう対応するか(内燃機関の場合は携行缶による補給)などいくつかあるが、現状、世界規模でEV化が進められているため、画期的なメカニズムやシステムの考案もあながち夢物語ではないだろう。
いずれにしても、カーボンニュートラルを推し進める過程で、自動車が排出する二酸化炭素をゼロにしようという姿勢は世界規模で合意した事柄であり、構造的に二酸化炭素の排出がないEVの普及は、今後加速度的に進み、主流になっていくことが推測される。