集合住宅の充電器整備が進まねば日本でのEV普及はない!
EV普及には、管理組合やマンション業者による自宅の普通充電器の設置や利用を促進する対策を、政府や自治体がある程度強制的に行わなければ、日本はEV後進国になる。
たとえば英国では、EVの購入希望者が集合住宅に住む場合、駐車場に充電設備を設置できるような政策がとられているという。
自宅に充電設備が整備されていくことではじめて、駐車中のEVから電力を住まいへ供給するヴィークル・トゥ・ホーム(V2H)を実現でき、それによって地域や国の電力需給を平準化する道も拓ける。それは、日本のエネルギー保障にもつながる。
日産は、すでに初代リーフの時代に、マンション業者と一緒に管理組合を説得する試みなど、集合住宅に住む人が自宅で充電できるような努力を重ねてきた。しかし、一社の取り組みだけで社会を動かせていない。それを知っているからこそ、日産は無理をしないのだ。
日本のほかの自動車メーカーや、海外メーカーは、国内事情を理解していない。だから、一方的にEVを導入している。ただし輸入車でも、早くからEVやPHEVを販売してきたインポーターは、営業の苦しみを知っている。しかし、自動車メーカーに比べ規模の小さなインポーターの努力だけでも、先へは進まないのだ。
トヨタが、EVシフトを考えているのなら、まず管理組合問題の解決に乗り出すべきである。同時に、国内5000店規模とされる販売店に、誰もが使える急速充電器を通り沿いに設置すべきだ。そうすれば、あっというまに5000基の急速充電器が備わり、合計1万2800基の急速充電器が整う。これに、ホンダとマツダが加わればさらに3000基ほどの上積みになる。ところが、ホンダもマツダも十分に手配できていない。
日産が孤軍奮闘してきた土俵にタダ乗りしようとする姿勢は見苦しい。自動車工業会も、そうした視点で自らEV普及のための基盤整備を目指すとともに、補助金行政の転換を働きかけ、まともな政策論議をすべきだ。