クルマの肥大化で道路や駐車場が使いづらい! 時代に合わせて「拡大」しない理由とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■近年、新車のボディの大型化が進んでいる

■一方で道路や車線の幅、駐車場枠についてはほとんど拡げられていない

■この記事ではクルマに合わせて道路や駐車場が拡大されない理由について解説する

道幅を最低でも4m以上に拡幅することは決まっているのに……

 過去10年ほどのSUV(スポーツ多目的車)人気に象徴されるように、新車の肥大化が進んでいる。トヨタの大衆車として1960年代に誕生したカローラさえも、ついに国内向けで3ナンバー化したことでも明らかだ。

 一方で、道路や車線の幅は従来と変わらず、駐車場枠も一部を除いては拡大されず、3ナンバーのSUV同士が横並びで駐車すると、乗降に不自由する始末となっている。

 なぜ、道幅や駐車場枠が広がらないのか?

 災害対応や消防の点からも、長年にわたって4m以下の道幅しかなかった路地について、最低でも4mへ拡幅することはすでに決まっている。しかし、それがなかなか進まないのは、民主主義国家の場合、政府の意向で強制的に社会基盤整備を行うことができないからだ。戸建て住宅でも、商店でも、民間のビルでも、建て替えで建築申請をする際、計画道路に対する道幅を確保できるよう土地を提供することが求められる。だが、建て替えが行われなければ既存の建物を壊すなどして道幅を広げることは不可能なのである。

 たとえば都内でいえば、港区の虎ノ門から新橋へ抜ける通称マッカーサー道路と呼ばれる幹線道路も、戦後に計画されていたが、それが実現したのは何十年も経た平成になってからだ。マッカーサーとは、戦後駐留軍として日本を統治したGHQのマッカーサー司令官を指す。戦後に計画されたが、土地買収が進まず実際に着工できたのは1989年からで、完成し、使えるようになったのは2014年のことだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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