自家用車のCO2排出量は物流などに比べると少ないが……
CO2(二酸化炭素)の排出量が、国内の分野別でもっとも多いのは産業であり、全体の30%を超える。次が業務その他、そして3番目にクルマに関わる運輸部門となる。
運輸部門の内訳をみると、自家用は物流や企業の営業などの3分の1以下になる。それでも、EVの導入などで自家用車に対する脱炭素が大きく求められるのは、品揃えがあれば消費者が選べるからだろう。
自動車と一言でいっても、消費財と生産財に分かれる。消費財とは、消費者が余暇など含め暮らしのなかで価値を認めれば、価格が高かったり、使用するうえでの経費が高くなったりしても、快適であるとか、楽しいなどといった個人的嗜好で選ばれる商品だ。一方、生産財は事業のために使う商品であるため、まず価格が適正であることが求められ、そのうえで機能や性能に優れることが求められる。簡単に言えば、それを使って商売で儲けることができなければ選択肢があっても選ばれない。
そこで、脱炭素の一環として社会の機運を高めるうえでも、単に価格だけでない情緒的な価値を含め選ばれる乗用車でのEV普及が求められることになる。
EVを所有すると、それにまつわるさまざまな環境課題に気付きやすくなる。象徴的なのが、EVを使う上での電力を脱炭素化したいという思いだ。それによって、たとえば自宅に太陽光発電を採り入れ、設置しようとの気持ちになる。これによって、EVを使う際の電力は脱炭素化できる。