全車種併売化によりクラウン離れが加速した
自販連(日本自動車販売協会連合会)統計によると、2020事業年度(2020年4月から2021年3月)締めにより年間販売台数は2万1858台となり、月販平均台数は月販目標4500台に対し、約1821台と大きく割り込んでいる。
トヨタは2020年5月から全店舗で一部車種を除く全車種併売化をスタートさせている。そのため、アルファードやカローラなど、それまでの一部販売店での専売車だった車種は販売窓口が増えたこともあり、コロナ禍でも販売台数はおおむね好調に推移しているのだが、クラウンは逆に販売苦戦が目立っている(コロナ禍で法人ニーズが落ち込んだことも影響しているようだが)。
アルファードがそれまでのトヨペット店専売から、クラウンを専売していたトヨタ店で販売できるようになり、クラウンユーザーがアルファードに流れていることもあるようだが、新規に扱えるようになっても、あまりに特別な存在なので売りにくいという声も多く聞かれた。
ただ、全店併売化になる前からクラウンの販売苦戦気味な様子は見受けられた。その理由のひとつが、直6やV6メインから直4や直4ベースのハイブリッドメインとなったことも大きいようである。
ヨーロッパでは合理的な考えから、カローラクラスでも直3を搭載したり、メルセデスベンツCクラスやBMW 3シリーズだけでなく、その上のEクラスや5シリーズも2リッター直4がラインアップされている。あのキャデラックですら、標準仕様でV8が搭載されるのは大型SUVのエスカレードぐらいとなっているのだ。
ただし、日本は“アメリカ以上にアメリカ的”なところもあるようで、たとえばヤリスが直3エンジン搭載となると、「うちのは直4ですよ」とライバルディーラーのセールストークに使われるほど、「気筒数が多いほど偉い」という認識が幅を利かしているようだ。クラウン場合も「やっぱり直4じゃあなあ」という声も聞かれるようである。