クルマのクオリティにこだわる国民性も理由のひとつ
ひとつの理由は、自動車メーカーの数の多さがある。乗用車ではトヨタ、日産、ホンダ、スズキ、マツダ、スバル、三菱、ダイハツ、そして商用トラックでは日野やいすゞがある。
日本車のグローバルでの総生産台数は、世界全体の約3分の1となる年間3000万台を超えている。そして日本市場は、中国、アメリカに次ぐ、世界第三位の自動車生産および自動車販売国である。
こうした状況で、日本の自動車メーカーとしては、基本的にタイヤを含む部品納入業者の複数購買を念頭に置いているため、タイヤメーカーとしても販売先が多数になる可能性が高い。
また、クルマ全体のクオリティを重視する日本の自動車メーカーとしては、たとえ新車価格が低い車種でも、グレードによって開発段階から採用するタイヤを想定し、タイヤメーカーが新車開発段階から車両実験に深く関与する場合も少なくない。
そのため製造拠点での組立てラインの後半で装着(ライン装着)のタイヤをさまざまなメーカーが供給することになる。
ちなみに、アメリカについては、一般的に知られていないタイヤメーカーがじつに多い。
たとえば、毎年秋にネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のアフターマーケット見本市「SEMAショー」では、タイヤ関連の出展エリアで、グッドイヤーやファイアストンのほか、フージアやゼネラルなど日本人には馴染みのないブランドの出展ブースが並んでいる。
とはいえ、GM、フォード、ステランティスなど大手自動車メーカーの新車装着タイヤはグッドイヤーやファイアストン、または欧州や日本メーカー製だ。
こうして見てみると、確かに日本では国産メーカーの数が多いと思う。