新型レヴォーグがいま一番安全なクルマに選ばれた! 中島飛行機時代から受け継がれる「安全思想」と「最新技術」とは (3/3ページ)

「シートベルトは生命線」着用を呼びかける

レヴォーグの衝突安全

 これを受けてレヴォーグで取り組んだのは、まずキャビンの強化。側突事故の際はドア、センターピラーの強度が重要になるため、センターピラーにはホットプレス一体成型を使用。強度の高い材料でしっかり支えるとともに、折れないよう下部は伸びやすい材料としている。これらの工夫で対衝突エネルギーは75%向上した。

 歩行者保護のためには被害軽減ブレーキの強化を行い、頭部の保護は歩行者保護エアバックによって改善した。フロントガラスまわりは衝撃材料を織り込むのが難しいため、衝突すると重度の傷害を負いやすい。そこでスバルは現行インプレッサから歩行者保護エアバックを順次搭載。国内メーカーではスバルのみ、世界的に見ても珍しい歩行者保護エアバックをレヴォーグでは全車標準装備とした。

 実際に歩行者保護エアバックが作動する映像を見ると、硬いピラーの部分をしっかりと覆えていることがわかった。またフードの上にも開くことでT字型を構成し、しっかりと固定されている。

 大きなエアバックを一瞬で開かせること、エアバックそのものをクルマに搭載すること、そして必要な時に開き、そうでない時には決して開かないセンシングが歩行者エアバックの難しいところだそうだ。

 乗員の胸部を保護するためには、エアバックやシートベルトの乗員拘束装置を強化。運転席にはニーエアバック、助手席にはシートクッションエアバックをつけるとともに、各席のシートベルトシステムを強化している。

 下半身は全体重の6割を占めるため、運転席はニーエアバックでしっかりと固定をすることによって、シートベルトによる胸への負担が大幅に軽減。助手席はももの下でエアバックを開かせることで、腰ベルトと合わせ、下半身をしっかりと拘束する。

 これらの対策により肋骨に入る荷重を減らすことができ、肋骨の弱い高齢者の方にはとくに大きな違いとなる。

 注意散漫にはドライバーモニタリングシステムを採用。また各種センサーによる警報や被害軽減ブレーキが乗員をサポートする。

 後席のシートベルト非着用については音警報付きベルトリマインダーを装着。スバルは初代レヴォーグで世界で初めて採用し、その後、各モデルに順次搭載している。

 初代レヴォーグ販売1年後に実施したアンケートを見ると、インジケータのみのリマインダーが付いているクルマでは25%、インジケータに加え警報音がなるレヴォーグでは70%の人が新たにシートベルトを着用するようになったことがわかった。

 今回、運転席側の後席にシートベルトを着用、また助手席側の後席に非着用のダミー人形を座らせた状態で64km/hのオフセット衝突実験を行なった映像も視聴することができた。

 一見、外観はフロントが潰れた残酷な状態となっていたが、この部分が潰れることでしっかりとエネルギーを吸収するのだという。対してキャビンの部分はまったく変形しておらず、ドアも開けることができた。

 後席の状態を確認すると、シートベルトをしていた方のダミー人形は席に座ったままの状態。おそらく大きな怪我はない傷害値におさまっているとのこと。対してシートベルトをしていないダミー人形の姿は後席にはなく、助手席の方まで投げ出されていた。インパネには頭部が当たった跡も見受けられ、おそらくこれは致死レベルに達しているとのことだった。

 シートベルトはまさに生命線。警告の有無に関わらず、ぜひ装着してほしいと古川さんは呼びかけた。

 この「スバルテックツアー」に参加して、スバルがいかに安全にこだわっているか、またレヴォーグがファイブスター大賞を受賞した理由がよく理解できた。またスバルから新しい安全技術が登場する度に「さすがは安全を重視するスバル」とは思っていたが、ここまで事実に基づき、具体的な目標を達成すべく開発を行なっているとは感動モノだ。

 スバルは今後も2030年事故ゼロを目指し、「人を中心としたクルマづくり」を行なっていくという。自動車変革期の渦中においても、絶えず「安心と愉しさ」を進化させるスバルの技術に注目だ。


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