3女だけが売れず! 「ノアヴォク」と基本は同じも「エスクァイア」が販売不振に陥るワケ (2/2ページ)

メインユーザーである子育て世代の支持を集められなかった

 さらにエスクァイアは新規投入車種だから、ヴォクシー&ノアと違って従来型からの乗り替え需要もない。これらの事情で2016年の3姉妹車の販売比率は、ヴォクシー:48%、ノア:29%、エスクァイア:23%であった。

 このときに比べると、現在はヴォクシーが4%、ノアは5%増えて、エスクァイアは9%減っている。前述の通り以前から低かったエスクァイアの販売比率が、今はさらに下がった。2020年5月からトヨタの全店で全車を扱う体制になり、トヨペット店やトヨタ店でも、ヴォクシーやノアが堅調に売れ始めたからだ。ちなみにヴォクシーは、同じ店舗がノアも扱うことから標準ボディを廃止して、エアロ仕様のZS系のみになったが売れ行きは下がらない。

 エスクァイアの販売下降について、トヨペット店に尋ねると以下のように返答した。

「トヨペット店では、以前はエスクァイアのみを販売していたが、今はヴォクシーが売れ筋だ。ミニバンには子育て世代の比較的若いお客様が多く、エアロパーツを装着したカッコイイ外観が好まれる。このニーズにヴォクシーはピッタリだ。また将来の話だから断言できないが、現時点ではエアロ仕様のヴォクシーは中古車市場でも人気が高く、有利な条件で売却しやすい。これも人気を高めた理由だ。逆にノアは低価格の標準ボディが強みになる。その点でエスクァイアは、質感は高いが、エアロ仕様がなく価格も高めで不利になった」。

 今は日産セレナならハイウェイスター、ホンダ・ステップワゴンはスパーダという具合に、ミニバンではエアロパーツを装着したグレードの人気が高い。エスクァイアは5ナンバーサイズの標準ボディに上質な内装を組み合わせて、独特の渋い魅力を感じさせるが、今のトレンドには沿っていない。

 エスクァイアの豪華指向のフロントマスクに、エアロパーツを装着して存在感を強める方法もあるが、今のトヨタは姉妹車を減らす方針だ。全店が全車を扱う今になって、エスクァイアのテコ入れをすることは考えにくい。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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