この記事をまとめると
■便利さからAT車が圧倒的多数だがまだMT車も生き残っている
■最近のMT車は操作の難しさを解消するハイテク装備が採用されているものも多い
■初心者でも乗りやすいMT車5台を紹介する
先進技術を搭載した「操りやすいMT車」を紹介
自分の手足でクルマを自在に操っているという感覚。これがもっともリアルに感じられることが、MT車最大の魅力ではないかと思います。最初からなかなかうまく操れる人は少なく、小さなトライ&エラーを繰り返しながら、だんだんとクルマを手懐けていくような感覚が、クルマに愛着を持つきっかけにもなるので、一度その魅力にハマると他のクルマでは満足できなくなることも多いですよね。
でも今や、日本で販売される新車の約99%はAT車という現実や、教習所に通う人の約68%は「AT限定免許」を取得するという流れから、MT車の行く末を案ずる声が聞こえてきます。若い世代では、MT車を見たことも乗ったこともないという人や、AT車についているパドルシフトの意味がわからない、という人も増えてきています。10年後にMT車が残っているかどうかは、誰にもわからない危機的状況と言えるかもしれません。
ただ、ほんの一握りではあるものの、そんな状況でも生き残っているMT車や、新たに生まれるMT車があります。それらは昔のように、筋トレかと思うほど重たいクラッチや、わずかなミスですぐにエンストしてしまうような気難しいものではなく、MT車のネガティブ要素を先進の技術でカバーし、より走りの楽しさが濃厚に味わえるように進化しています。MT初心者にも、若い頃にMTに乗っていたけど体力が落ちているからと躊躇している熟年世代にも、トライしやすいMT車なのです。今回はそんなMTデビュー&カムバックにふさわしい、最新MT車をご紹介したいと思います。
1)トヨタ・カローラスポーツ
1台目は、若々しくスポーティに生まれ変わった、トヨタ・カローラスポーツの6速MT。これは「iMT(インテリジェントマニュアルトランスミッション)」と言って、SPORTモードを選択した時に、ドライバーのシフト操作を先読みしてくれる賢いMTなのです。
たとえばシフトダウンをする時に、シフトレバーの動きを検知して、回転数を自動的に合わせて安全でショックの少ないシフトダウンができるというわけです。昔のMT車のように、シフトチェンジのたびにクルマがカックンカックンとぎこちない動きをして、同乗者にも周囲からも「下手だな」と思われるようなことがないのは、とてもスマートですよね。
しかも、NORMALモードとECOモードの時も、スタート時のクラッチミートを検知してエンジン回転数を少し上げてくれる機能もあるので、1速での発進がなめらかにしやすく、発進直後のギクシャク感が少ないのも嬉しいところです。
2)マツダ・ロードスター
2台目は、世界的に人気のライトウェイトオープンスポーツカーである、マツダ・ロードスター。昔はドラテクを磨くための入門車として、ロードスターがうまく転がせるようになったら一人前だ、などと言われていましたが、今ではそんなロードスターでもAT車比率が高くなっているようです。
とはいえ、MT初心者にロードスターをオススメするのは、「ギア・シフト・インジケーター(GSI)」が付いていること。MTに慣れないうちは、いつ、何をきっかけにシフトアップやシフトダウンをすればいいのか、なかなかわからないものですよね。長く乗っていれば、だんだんと最良のタイミングが掴めてくるものですが、ロードスターではそんなベストなタイミングを見極めて、メーター内に現在のギヤ位置と推奨するギヤ位置が、例えば「2→3」のように表示されるようになっています。
もともとは、燃費がよく快適な走行をサポートするためのシステムなのですが、燃費良く走る運転とは、すなわち滑らかで無駄のない運転ということで、シフトチェンジのタイミングを掴む練習にはもってこい。慣れてきたら、見なくても自然にできるようになると思います。